【tubu.8】うつ病になりやすいとき、なりやすい人【ストレスと性格】
もくじ!
8.うつ病になりやすいとき、なりやすい人
前回→【tubu.7】うつ病ってどんな病気?【うつとエネルギー】
( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。
前回、うつ病はエネルギーが低下することによって起きるとお話ししました。
ではどのようなときにエネルギーが低下するのでしょうか?
また、エネルギーが低下するとどんな症状が出てくるのでしょうか?
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エネルギー低下の原因は?
エネルギー低下の原因は一つとは限りません。色々な出来事がいくつも重なって、エネルギーが低下し、気がつくとうつ病になっていたということがあります。
・疲れすぎ
仕事が忙しい、残業が多い、帰宅後の電話や予期せぬ呼び出しが多い、不規則な生活リズムになりがち…これらはいずれも疲れが溜まりやすい状況です。
このような状況が続くと、だんだんとエネルギーが低下し回復しにくくなっていきます。
・過度のストレス
適度なストレスは、体調にいい影響を与えますが、過度なストレスは体を蝕みます。
例えば高努力−低報酬の仕事は、達成感が乏しくストレスが溜まりやすいです。
また、上司など職場の人間関係や、家族との関係がギクシャクしていることもストレスに。
過度なストレスにさらされると、心身ともに気がつかぬうちにすり減ってしまいます。
・大切な人、ものを失くす「喪失体験」
過度なストレスの一つに、「喪失体験」があります。「喪失体験」とは、親しい人が亡くなったり、急に失職したり、災害で住むところをなくしたりすることです。
人は誰でも、喪失体験をしたとき落ち込んでしまいます。そして、落ち込んだとしてもしばらくすると次第に回復して来ます。しかし、喪失体験が原因でエネルギーを大幅に失い、うつ病になってしまうと、喪失体験から時間が経ってもエネルギーが回復しません。
・真面目な性格
真面目な人は一生懸命頑張ろうとしてしまいます。心身がエネルギー不足になったとしても、ついつい無理をして頑張ります。すると、気づいたときにはエネルギーが枯渇するということがあります。
このような要因がいくつも合わさって、エネルギーの低下をもたらし、うつ病の原因になります。
では、うつ病になっていくとその人にどのような変化がみられるでしょうか?起こる症状は?
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起こる症状は?
ではどのような症状がみられるのか、前回での某K氏を参考に診ていきましょう
・気がつくと趣味を楽しめない、むしろ疲れる
前回の最後に「気晴らしをすればいいんじゃない?」というのはどうかとありましたが、答えは上に書いてあるように「趣味を楽しめない、ただ疲れるだけ」というのが現実です。
趣味を楽しむためにもある程度のエネルギーが必要なのです。
某K氏は、気晴らしに趣味のライブに行こうとしました。前から楽しみにしていたものです。
ところが現実は非情なもので、楽しむどころか感情が動かず、むしろ周りから心配されるばかりでした。
好きなことを楽しみたいのに楽しめず、ただ疲れるだけというのは、想像よりもつらいです。
・身体が硬くなっている…肩こり
エネルギーが低下すると、身体の動きがぎこちなくなります。気づかぬうちに肩に力が入って、肩こりが取れなくなったりします。
心がすり減ると、いろいろな物事に警戒してしまい、無意識に力が入ってしまうのですかね。
・食事が入らない、気がつけば体重が減っている
エネルギー低下で日常生活に差し支えが出ます。食事はその一つです。
ご飯に興味関心がなくなり、ときには食事を取らなくても気にしなくなります。
そして気がつくと、ダイエットしているわけではないのに体重が減ることがあります。
逆に、暴飲暴食になる人も少なくはありません。
・眠れない、朝起きるのが辛い 睡眠の質が悪い
夜寝付けない、朝ベッドから出るのが辛くてたまらない、早朝に目が醒める、寝たのに疲れが取れないという症状はエネルギー低下のサインです。
寝るのに必要なエネルギーさえなくなり、「疲れたから寝る」というセンサーが壊れかけている証拠です。
もちろん本人は「ただの疲れすぎかな?」程度にしか思いません。
・集中が続かない、注意散漫になる
エネルギーが減ると、集中や注意することができなくなってきます。
「会話していても5分で疲れてしまう」「仕事中、小さなミスを連発する」など、些細なことから「文章が目に入ってこない」「目の前にあるものを放置していることすら気づかない」という日常生活に影響することまでさまざまあります
・考えが浮かばない
アイデアが浮かばなくなります。例えば、普段なにげなくしている料理で見てみましょう。
料理は「素材を選ぶ」「味を考える」「切り方を考える」「火加減の調整をする」「同時に別のものを作る」等々、複雑なことを考える必要があります。その分エネルギーを使います。
そのほか普段している家事や仕事なども同様に色々考えなければいけませんし、その分エネルギーを使います。
なので、エネルギーがなくなると、考えがまとまらなくなり、アイデアが浮かばなくなります。
「料理しようと思っても何を作ればいいかわからない」「文章を書こうとしたが何も浮かばない」「仕事の企画を作る必要があるが何をどうしたらいいかわからない」などなど起こります。
その他こんなこともあります。
「朝仕事に行こうと思うが、なかなか玄関から出られない」
「疲れが溜まっているのでエナジードリンクを飲んでいたが、飲まないと全く身体が動かない」
このようなことがあれば、要注意です!
あなたの周りにこのような人はいませんか?
もしくはあなた自身このような症状がありませんか?
ちなみに上記のことは、実際に某K氏が体験したことを簡潔に纏めたものです。詳しくはまた後日ということで。
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気づいたら声掛けを
うつ病の症状によく「なんだか憂鬱である」と書いてあったりしますが、自分が憂鬱に思っていることにすら気がつかないことがあります。
「なんだか憂鬱である」という症状よりは、その人の行動変化の方がわかりやすいことがあります。
また、最近は職場でストレスチェックが実施されていることがあると思います。自身のストレスチェックの結果はきちんと確認しましょう。
指導を受けた方がいいなどコメントが書いてある方はすぐ相談に行った方がいいと思います!
ちなみに、うつ病診断直前の某K氏のストレスチェック結果は、赤信号でした。
家族や職場の同僚が「眠れない」「なんか頭が働かない」など言っていたり、エナジードリンクを多飲している、身体がこわばっているなどの様子の変化が見られるときは、もしかしたらその人は本人が気づかないうちにエネルギーが低下してきているのかもしれません。
そのような変化に気付いたときは、「ちょっと休んでみたら」「頑張りすぎてない?」「最近無理していない?」などと声かけしてみてはいかがでしょう。または、このつぶやきを見せてあげるだけでも気がついてくれるかもしれません。
次回→【tubu.9】実体験から見るうつ病【いつでもだれでも】
参考URL
こころ耳 働くためのメンタルヘルス・ポータルサイト 厚生労働省
参考文献
DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き 医学書院 American Psychiatric Association著
ここが知りたい職場のメンタルヘルスケア〜精神医学の知識&精神医療との連携法〜 南山堂 日本産業精神保健学会編
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ここが知りたい職場のメンタルヘルスケア改訂2版 精神医学の知識&精神医療との連携法 [ 日本産業精神保健学会 ] 価格:4,860円 |