【tubu.11】腎臓は血液清浄機!【肝腎要】
11.腎臓は血液清浄機!
( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。
皆さんは、腎臓ってどんな臓器かご存知ですか?
「肝腎」というくらいですから、大事なものと考えられますね。
腎臓は尿を作る臓器です。
しかし、そもそもなんで尿を作って、体の外に捨てる必要があるのでしょうか?
尿を作る以外に何か仕事をしているのでしょうか?
今日はその腎臓の働きを考えます!
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腎臓ってどんな形?見た目?
腎臓とは腰の付近にあるソラマメのような形で、にぎりこぶしサイズの臓器です。
左右に2つずつあり、腎動脈という大きな血管からたくさんの血液が入っています。
なんとこのにぎりこぶし大の腎臓には心臓から出る血液の20%が流れ込みます。
脳に流れ込む血液が15%と考えると、結構な血液が腎臓に流れ込んでいるのがわかります。
そもそもなぜ大きな血管があり、たくさんの血液が流れ込むのでしょうか?
それは腎臓がある大切な役割をしているからなのです。
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腎臓は血液清浄機だ!
腎臓に入った血液は糸球体と言われる「フィルター」でろ過されます。
すると、血管の中から、水分やブドウ糖、電解質、アンモニアなどが分離されます。
この分離されたものの中から、必要なものは再度血管内にもどし、不必要なものは捨てられていきます。
この不要になったものが尿としてまとめて外に捨てられるのです。
このように血液中の不必要なものを尿として身体の外に捨て、血液をきれいに保っているのが「血液清浄機」腎臓なのです。
「血液清浄機」ということは、全身の血液をくまなくきれいにする必要があります。そのためには、たくさんの血液を送り込んできれいにすると効率よくお掃除できます。だからこそ、腎臓には大きな血管でたくさんの血液が送り込まれているのです。
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実は多機能型清浄機なんです
腎臓には血液がたくさん流れ込みます。また、尿として血液の中のいらないものを捨てています。
こんなに血液が流れ込むということは、ただ血液をきれいにするだけではなんだか物足りない気がしますね。尿産生以外にもなんだか別の仕事をしてそうです!
ここでのポイントは、血液の質と量を保つということ。
以前お話ししたように、血液の役割として大切なことは、「赤血球による酸素運搬」です。
出血などで赤血球が減ると酸素が運搬できなくなり大変です。
この時、腎臓が一役買ってくれます。
血液中の赤血球が減ると、腎臓はエリスロポエチンというホルモンを作ります。これは、身体の中を行き来する手紙のようなものです(内分泌ホルモン)。腎臓はこのエリスロポエチンを手紙として、骨髄に訴えることで赤血球の増産を促します。
続いて、腎臓は血圧にも関係しています。尿を作って捨てるということは、水分を捨て血液の量を調整しています。
血圧は、血液の量や血管の伸び縮みで変化します。
腎臓は血液の量を調整するため、常に血圧を交感神経のセンサーでモニターしています。水分が多すぎて血圧が上がりすぎたり、水分が足りなくて血圧が下がったりすることがないように工夫しています。
さらに、腎臓は血管の伸び縮みにも作用します。レニンというホルモンを作っています。
血圧は体全体の問題なので、血圧の調整を行うときは、他の臓器と連携も必要です。そこで、レニンだけでなく、アンジオテンシン、アルドステロンというホルモンが手紙になって、腎臓と他の臓器の情報伝達を担います。
では、出血した時の腎臓の働きを見てみましょう!
出血で血液を失うと腎臓がエリスロポエチンを作って赤血球を増やせ〜と骨髄に命令します。また、出血で失われた水分を失わないように、尿を減らし身体の中の水を保ちます。
さらに出血で血圧が下がらないように、身体の各所に血圧をあげるよう促します。
これで、血液の質、量を保っているのです。
今回は腎臓の大まかな機能について紹介しましたがいかがだったでしょうか?
まさに身体にとって「肝腎」なものなのですね!
腎臓は血液清浄機であり、血液のバランスを整えることを知っていただけたら嬉しいです。
参考URL
https://jinentai.com/ckd/tips/1 家族と考える慢性腎臓病サイト〜腎援隊 NOVARTIS
参考文献
ハリソン内科学 第5版 p1849〜p1851 メディカルサイエンスインターナショナル 福井次矢 黒川清 監訳
Year note 第26版(2016年) pJ-11 メディックメディア