【tubu.13】内科の入院でもリハビリが必要!?【廃用症候群】

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13.内科の入院でもリハビリが必要!?




前回→【tubu.12】漢方ってどんなもの?【葛根湯】

( @∀@)

みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。

 

皆さんは「リハビリ」したことがありますか?

リハビリというと、「骨折した人が手や足を動かす訓練かな」「整形外科でリハビリするのかな?」というイメージがあると思います。

しかし、医療のリハビリは必ずしも怪我からの回復を促すものではありません。

 

今回は、私が自身が医師・患者になって経験したことを踏まえて、リハビリは日常生活を守るためにある」ということをお伝えしたいと思います。




  1. リハビリテーションと聞くと…

    リハビリテーション、通称リハビリと聞くとなんだか骨折した人や怪我をした人が動く訓練をすることをイメージする人が多いと思います。

    実際、怪我をした後、怪我をしたところの状態が落ち着いたら、そこを動かし元のように動くようにリハビリを行います。そして、だんだんと動きが改善し、普段の生活に支障が出なくなって行きます。

    これは手足を動かし「日常生活を守る」ためにリハビリをしているとも言えますね。

     

    ここで、リハビリは「日常生活を守る」ということに焦点を当てて考えてみましょう。

    すると、このような怪我のリハビリだけでなく、内科の病気で入院している患者さん、というよりも入院・外来を含めた全ての患者さんにリハビリが関わってくるのです。

     

  2. 日常生活と入院生活の違い

    私たちは、普段気がつかぬうちにたくさんの筋肉を使い、いろいろな動きをしています。

    例えば、料理をするとき、物をとったりするためにしゃがんだり、背伸びをしたり、フライパンを揺すったり動いています。

    しかし、入院すると私たちの活動はめっきり減ってしまいます。入院中、家事はしない、ベッドで横になることが多い、歩き回ることが減る…などなど。

    また、家で風邪やインフルエンザで寝込んだ時も同様に、動くことが少なくなってしまいます。

     

    もちろん、身体の回復という点では安静にして病気の治療にエネルギーを注いだほうがいいですが、ずっと安静にしていると筋肉は落ち、身体は動きにくくなってしまいます。

     

    まだ若くて運動もしていたですら、入院した時に1週間ちょっと寝たきりだっただけで、歩けば息切れ、筋肉もやせ細り…、と身体の機能が落ちるのですから、高齢者ではもっと落ちてしまうでしょう。

    寝たら体力が回復するイメージがあるのに、実際は身体の機能が落ちてしまうのはいったいなぜでしょうか?

  3. 恐怖!廃用症候群!!

    廃用症候群って聞いたことがありますか?

    過度の安静は心身機能の低下をもたらし、それによって動けなくなることで心肺機能の低下、筋力の低下、関節の動きが悪くなるなどの状態をもたらすと言われています。ひいては認知機能にも支障が出ると言われています。

    このような心身の機能低下をまとめて廃用症候群と言います。

    わかりやすい例が、高齢者の寝たきりです。入院する前はそこそこ動けていた患者さんが、長期の入院生活で機能が落ち、退院するときに寝たきりになってしまうことがあります。

    これでは日常生活に戻ることはできません。廃用症候群は日常生活を奪ってしまうのです。

     

  4. 入院中のリハビリ

    普通に日常生活が送れていた患者さんが入院すると、心身機能低下のリスクが高まります。

    廃用症候群になってしまうと危険です。

    そのため、入院した時から患者さんに「少しでも動いてもらうこと」=「日常生活を守るリハビリをしてもらえるように、医療チームが工夫する必要があります。

    では、入院患者さんはどのようなリハビリをしているのでしょうか?

    例えば、抗がん剤治療で入院した患者さんがいるとします。

    患者さんは、抗がん剤治療で体力的に消耗しており、病院内をスイスイ歩くことはできません。

    このような患者さんにもリハビリをします。

    ベッドの上で足を動かしたり、手すりを持ってゆっくりと歩いてみたり、ベッドの上ではなく食堂でご飯を食べてみたり…

    「たったそのくらいでリハビリというの?」と思う方もいるかもしれませんが、これは立派なリハビリです。

    患者さんの意思で少しずつできる範囲で体動かすことも、「日常生活を守る」ためのリハビリです。

     

    たったこれだけのことでも退院時に大きく変わります。

    また、自宅で病気の療養をしている人たちも、無理なくできる範囲で動くことで、日常生活を守ることができます。リハビリって思ったより簡単なことなんですね。


医学生の時は、いまいちリハビリの重要性に気がつきませんでした。しかし、医師になり、「患者さんが入院中リハビリをしっかりと行い、退院前と同じように歩いて帰ってくれることはとても大切なことだ」と感じるようになりました。

 

私たち医療者は、ただ病気を治療するだけでなく、その人の生活も意識して患者さんと関わることが重要です。

とても簡単なリハビリが「日常生活を守る」ということを多くの人に知って欲しいです。

次回は私が、実際に経験したリハビリの効果を書きます。

 

次回→【tubu.14】医師として、患者として見た私のリハビリテーション【リハビリ】

 

参考URL

廃用症候群 公益財団法人 長寿科学振興財団

参考文献

その患者さん、リハ必要ですよ!! 羊土社 若林秀隆 編

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