【tubu.18】狂犬病って犬の病気?人の病気?【予防接種】
18.狂犬病って犬の病気?人の病気?
前回→【tubu.17】子どもを医学部に進学させたい、進学させるつもりのご家族へ【お願い】
( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。
犬っていいですよね。
私の実家には犬がいて、毎日可愛がっていました。
犬を飼っているご家庭では、必須の「狂犬病予防接種」。
私も、狂犬病の予防接種に連れて行っていました。
嫌な顔をされるので心苦しかったですけれども…笑。
しかし、狂犬病の予防接種ってなんのためにするのでしょう?
いや、そもそも狂犬病ってなんなのでしょうか?
犬の病気?それとも人も関係あるの?
今日はそんな疑問にお答えします。
-
狂犬病ってどんな病気?
狂犬病は実はとても恐ろしいものなのです。
よくある例は、狂犬病に感染した犬に噛まれることで発症します。
まず、狂犬病にかかった犬に噛まれると傷口からウィルスが侵入します。
はじめの1〜3ヶ月、場合によっては一年以上特に目立った症状は出ません(潜伏期)。
その後、風邪のような症状が数日続きます(前駆期)。
それで終わりかと思いきや、急に興奮して暴れ出したり、幻覚を見たり、水を怖がるなどの奇妙な行動が現れます(発症:急性神経症状)。
これは、ウィルスが神経に入り込み、その中で増えるまで時間がかかるため、噛まれてすぐには症状が出ません。
しかし、発症したら最後、数日という短い時間でひどい症状が出現し、ほぼ100%死に至ります。
特に、傷を負った部位が顔や頭などの場合は潜伏期間が短い傾向にあります。
日本では、1950年の狂犬病予防法が出来てから激減し、1954年を最後に日本国内での発症患者は途絶えています。
日本では、狂犬病は見られなくなりました。
しかし、本によると、狂犬病は世界中では未だに発生しており、およそ33億人が狂犬病が存在する地域で暮らしています!(びっくり!!!)
-
どうやって防げばいい?
日本では見られなくなった狂犬病ですが、海外では感染する可能性が十分にあります。
致死率100%の病気なんて一体どう防げばいいのでしょう?治療法はないのでしょうか?
残念ながら、発症してからの有効な治療法はありません。
しかし、発症するまでの時間(潜伏期間)が長いので、その間に手を打てば発症を予防できます。
海外で狂犬病に感染した犬に噛まれたかもしれない。そんな時は、すぐに傷口を洗い、病院に行ってワクチンを打ちましょう!
また、感染の危険がある場所に行く前には事前に予防接種をしておくことが大切です。
最近では、海外に行く前にワクチンを打つための渡航外来を設けている病院もあるので、そこで相談してみるのもいいでしょう。
-
怪しい犬に触れなければ大丈夫?
狂犬病は、犬が人を噛むことによって、人にも感染すると話しました。
では、犬だけ避ければいいのでしょうか?
いえ、そんなことはありません!
キツネやアライグマ、サル、コウモリなどすべての哺乳類が狂犬病ウイルスを持っている可能性があります。
なんと、北米ではスカンクやマングースも持っているとか…。
「かわいい!!」などとインスタ映えを目指しカメラ片手に、むやみに近づいてしまうと、ガブっと噛み付かれてしまうかもしれません。
かわいいモフモフたちにも牙あるのです。海外旅行には気をつけて!
もちろん日本では、1954年以降、国内発症が見られていません。
(海外旅行から帰ってきた人が発症した例は数件あります。)
もしまた日本で狂犬病が現れては危険なので、いまでも狂犬病予防注射が行われています。
愛犬と、自分、そして家族や周りの人を守るためにも、愛犬に狂犬病の予防接種をお願いします。
以上、犬好きDr.かづきちによるトピックでした!
昨年に亡くなった愛犬のハナコちゃんに、哀悼の意を込めて。
次回→【tubu.19】親になるなら知っておきたい1【飲んでいいもの、悪いもの編】
参考文献
ハリソン内科学 第5版 p1344〜p1350 メディカルサイエンスインターナショナル 福井次矢 黒川清 監訳
内科学 第10版 p274〜p275 朝倉書店
戸田新細菌学 改訂33版 p807~p809 南山堂
![]() |
価格:17,280円 |