【tubu.19】親になるなら知っておきたい1【飲んでいいもの、悪いもの編】
19.親になるなら知っておきたい1〜のんでいいもの、悪いもの編〜
前回→【tubu.18】狂犬病って犬の病気?人の病気?【予防接種】
( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。
以前、子どもが飲んでも安全な風邪薬について説明しました。
すでに生まれたお子さんにも、薬というものは様々な影響を与えます。
しかし、それよりも前の段階、つまり「お腹のなかにいるお子さん」にも影響はあるのです。
今回は、これから「子どもがほしいな」と考えているお父さん、お母さんに役に立てばと思います。
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お母さんのお薬は「お腹のなかの赤ちゃん」にも影響がある!
さて、突然ですがサリドマイドってご存知でしょうか?
サリドマイドは、1957年に開発され、副作用の少ない催眠薬として使われていました。 妊娠時のつわりに対しても、鎮静薬として使われていました。
つわりを少しでも楽にしてくれるのはありがたいですよね。
しかし!この薬を服用すると、お腹の中の赤ちゃんに手足がないなどの奇形が起きることが発見され、問題になりました。(医学生なら知っておいてほしい知識です!)
このサリドマイドのように、妊娠中に摂取すると奇形の原因となるもの、摂取しないと障害が起きてしまうものがあります。やはり、自分が知っておくことで、赤ちゃんの障害を予防できるならいいな、と思いますよね。
ということで、本日は普段の食事で予防できる病気の話をしようと思います。
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二分脊椎ってなに?
今回は、赤ちゃんの「二分脊椎」を例に考えましょう!
あれれ???そもそも、二分脊椎とはなんでしょう?
二分脊椎とは、赤ちゃんがお腹の中で大きくなり、脊髄ができます、その時に脊髄の終わりのところがきちんとと閉まらずに、コブ(瘤)ができる疾患です。
お尻の上、腰の真ん中に大きなコブができるのが特徴的です。
この病気は、そのコブ自体ではなく別のところに問題があります。
脊髄の終わりのところがうまく作られていないため、そこから出ている神経の機能に異常が出るのです。
主に腰の下の方から出る神経に異常が出ます。
腰の下の神経(仙骨神経叢)は主に、直腸や膀胱の調整をつかさどります。 このため、二分脊椎では尿がうまく出せません。そのため、排尿トレーニングが必要となります。
では、どうすれば二分脊椎を予防できるのでしょうか?
実は、二分脊椎は「ある物」をきちんと摂取しておけば防ぐことができます。
それは、「葉酸」です!
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大事な栄養素「葉酸」
葉酸は体の中で、DNA 合成に関わる物質です。
この葉酸を妊娠する前から妊娠初期にかけて、十分に摂取しておけば、 高確率で二分脊椎を予防できます。 葉酸が含まれる食べ物としては、ミズナ、ほうれん草、モロヘイヤ、オクラ、レタス、ブロッコリー、いくら、ホタテ、レバー、そら豆、アボカド、鶏卵などなどです。
なんだか私の好きな食べ物が多いなぁ〜〜〜。
バランスを意識した食生活をしていれば、葉酸はきちんと取れるようです!
さらに、葉酸は無脳症や神経管欠損などその他の赤ちゃんの大きな病気を予防することができます。
「赤ちゃんの病気を予防するには葉酸が大切!」
皆さんも、お父さんやお母さんになる際、ぜひこのことを思い出して、お腹の中の赤ちゃんの健康にも、目を向けてみてください。
以上、ミズナのサラダが大好きなかづきちでした〜
※最初に触れたサリドマイドは、現在多発性骨髄腫などの病気の治療薬として必要とされています。全て悪いことしかない薬では決してありません。気になるかたは参考URLをご覧ください。
次回→【tubu.20】いろんな栄養補助食品の味を比較してみた!【全16品】
参考URL
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 サリドマイド、レナリドミド及びポマリドミド製剤に関する情報
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0002.html
公益財団法人 いしずえ サリドマイド事件概要
http://www008.upp.so-net.ne.jp/ishizue/aboutthalidomide.html
難病情報センター 二分脊椎
http://www.nanbyou.or.jp/entry/2216
参考文献
ネルソン小児科学 原著第19版 ELSEVIER 衛藤義勝 監修
p232 葉酸欠乏症
p2322〜p2324 脊髄髄膜瘤 無脳症