【tubu.21】研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編①~【B・D・F!!】
21.研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編①~
前回→【tubu.20】いろんな栄養補助食品の味を比較してみた!【全16品】
( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。
大学も後期がぼちぼち始まり、大学によっては試験が始まってるところもちらほらあるのではないでしょうか。
そんななかである一通の連絡が。
「補体ってなんぞや?免疫がわからない」という質問がきました。
免疫って、ミクロの世界で起きてることなのでいまいちピンときませんよね。
ましてや、医学関連の人でなければ、なんのことだか意味不明な分野です。
このシリーズでは、医学初心者でも免疫学が理解できるように、「雰囲気のみ」でわかる医学講座を作ってみました。
「雰囲気」と書いているように、大まかな流れや仕組みを理解しやすいように説明します!
気軽に読んでいただけると嬉しいです。
(正確な医学用語や詳細な反応経路などは教科書で確認してほしいなと思います。)
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免疫って何?
そもそも免疫ってなんでしょうか?
普段は実感できませんが、私たちの周りにはたくさんの微生物がいます。
「なんで、そんなにいるのか?」
だって人間の体って、あったかくて、ジメジメしててとても居心地良さそうですよね。
例えば、健康な大人の腸には500種類以上の微生物が共生しています。
その重さなんと約1kg!
なんとすごい数の微生物たちがお腹にいることでしょう。びっくり。
腸に生きる微生物たちは、栄養の吸収を手伝ってくれたり、ビタミンを作ってくれたりなど、私たちに協力してくれたりしています。
しかし、体の周りにいる微生物が必ずしも、私たちにとって良い子であるわけではありません。
微生物の中には、体に入ってきて悪さをするものもいます。
例えば、インフルエンザウイルスが体の中に入ってきてしまうと、インフルエンザを発症してしまいます。
そこで、これらの悪い微生物から体を守るシステムが免疫なのです。
免疫とは、いわば「カラダ防衛軍」と言ったとこでしょう。
Body Defense Forces… BDF! B・D・F!!
(↑注:かづきちの造語です。)
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免疫の大まかな働き
では、次に免疫というカラダ防衛軍の役割を大まかに考えてみます。
この軍には大きく分けて2つの部隊があります。
敵が侵入してきたら、その場ですぐに戦う部隊…自然免疫と言います。
敵が侵入してから自然免疫が働いている間に、強力な装備を整え、相手を滅ぼす部隊…獲得免疫と言います。
・自然免疫
自然免疫は、敵が入ってきたらすぐに反応する必要があります。そのため、その敵に特化した強力な装備(抗体など)を持ち合わせていません。
自然免疫の戦い方は、その場にいる隊員が「目の前の相手をとにかく食べる!」「破壊する!」「やられた味方ごとぶち壊す」と言った感じです。その場の判断で動くので、強力な攻撃はできません。
例えば、私たちが小さな怪我をしたとき、そこから微生物が体に侵入してきます。また、インフルエンザになった人のそばにいる時、目や鼻、口からインフルエンザウイルスが侵入してきます。
そのような時は、まず自然免疫が働くことで病気を発症せずに、病気の原因となる微生物はやっつけられてしまいます。
・獲得免疫
一方、獲得免疫は、司令官を筆頭に連携が取れた部隊なのが特徴です。敵を完全にやっつけるために、その敵に特化した強力な武器を装備しています。自然免疫から敵の情報をもらい、特化した武器を準備します。なので、自然免疫に遅れて出動します。
例えば、私たちが弱っている時、自然免疫だけではインフルエンザウィルスを撃退できません。この時、インフルエンザを発症します。すると、獲得免疫がやってきてインフルエンザウィルスを倒します。
補足ですが、中にはこの獲得免疫の司令官を乗っ取りBDFを内部から破壊する病気もあります。(後天性免疫不全症候群(AIDS)など)
次回は、カラダ防衛軍に所属する隊員・武器を見て行きましょう!
次回→【tubu.22】研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編②~【自然免疫】
参考文献
エッセンシャル免疫学 第2版 メディカルサイエンスインターナショナル 笹月健彦 監訳
year note 第26版 メディックメディア 免疫pF-2
参考URL
株式会社 医学生物学研究所 自然免疫と獲得免疫
http://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Natural-immunity-Acquid-immunity.html