【tubu.22】研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編②~【自然免疫】
もくじ!
22.研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編②~
前回→【tubu.21】研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編①~【B・D・F!!】
( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。
前回は、免疫=カラダ防衛軍(BDF*注:かづきちの造語)というお話をしました。
今日は、BDFに所属する隊員や武器を見てみましょう。
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自然免疫と獲得免疫の違い
自然免疫と獲得免疫、この二つの部隊に所属する隊員・武器が異なります。
隊員とは、免疫を担う細胞のこと。
武器とは、免疫に関係するタンパク質のことを指します。
自然免疫
自然免疫はその場で戦う部隊です。
隊員が体の各所にパラパラと配置されています。
好中球、マクロファージ、NK細胞、樹状細胞が隊員として所属しています。
武器としては補体があります。
獲得免疫
獲得免疫は、敵に特化した武器を持って戦う部隊です。
隊員たちは、命令された場所に移動して働きます。
隊員には、リンパ球(T細胞、B細胞)が所属しています。
T細胞の中には、ヘルパーT細胞と細胞障害性T細胞の2種類がいます。
ちなみに、獲得免疫の司令官はヘルパーT細胞(別名CD4T細胞)が務めています。
今回は自然免疫の隊員を詳しく見てみましょう!
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自然免疫の隊員たち
好中球、マクロファージ、NK細胞、樹状細胞が自然免疫の隊員であると言いました。
この隊員たちは一体どのように敵を殲滅しているのでしょうか?
マクロファージ なんでもします!最前線に立つ隊員。
例えば傷口から、病気の原因となる細菌が侵入してきたとします。
その細菌にまず出会うのが、傷口の近くにいるマクロファージです。いろいろな種類の手(受容体)を使って、細菌を捕まえ、食べてしまいます。そして、マクロファージの中で消化してしまうのです。
また、マクロファージは他の細胞への情報伝達も担っています。細菌を手で捕まえると、マクロファージはお手紙(炎症性サイトカイン)を身体中に送信します。
「みんな、敵が侵入してきたよ!!!」
この手紙を、骨髄、肝臓、脳(視床下部)、脂肪、筋肉など体中のいろいろな組織が受け取り、応答します。
好中球 敵は皆喰らい尽くすのみ
マクロファージの出す手紙によって、真っ先に駆けつけるのが好中球です。好中球はとにかく敵を食べ尽くすことに特化した細胞です。普段は血液の中にいますが、マクロファージが手紙を出すとすぐにやってきて、ばくばくと敵を食べ始めます。
この好中球って実はとても身近なものです。例えば、怪我をした部分に細菌が感染すると、赤くなり黄色い膿(うみ)がつくことがあります。それは実は、細菌を食べて死んでしまった好中球なのです。また、鼻水が黄色くなることもありますが、これは好中球をたくさん含んでいるために黄色に見えるのです。
NK細胞 ナチュラルキラーとかいてNK
ナチュラルキラー…なんだか強面なイメージですね。
NK細胞は、B細胞やT細胞と同じリンパ球の一種です。ツブツブがあり大きいのが他のリンパ球との違いです。
このNK細胞も好中球と同様に、マクロファージのお手紙に反応してやってきます。好中球が割と細菌に強いのに対し、NK細胞はウイルス感染に強い細胞です。
ウイルスに感染してしまった自分の細胞をツブツブを使って破壊し、他の健康な細胞に感染が広がらないようにします。
このため、NK細胞がない病気だと、ウイルスに感染しやすくなります。(ADA欠損症など原発性免疫不全症候群の一部)
NK細胞はそれだけでなくマクロファージや樹状細胞とお手紙をやりとりし、お互いの仕事を調整しています。
樹状細胞 情報の運び屋
樹状細胞はマクロファージの仲間の細胞で、病気の原因となる物質(病原体)を食べます。
もし、自然免疫だけで病原体を倒せそうにないとき、樹状細胞は動き出します。
樹状細胞はその病原体の情報をリンパ節に運びます。そして、その情報に対応できるT細胞を活性化させます。
すると獲得免疫が動き始めるのです。
ここまでで隊員たちのことはご理解いただけたでしょうか?
まとめると
マクロファージは何でも屋、好中球はとにかく食い尽くす、NK細胞は感染した自分の細胞を破壊する、樹状細胞は情報運搬担当といった感じです。
なんとなく雰囲気はつかめましたか???
そういえば、自然免疫は補体という武器を持っていました。この武器はどう役に立つのでしょうか?
次回は、自然免疫の武器である補体を勉強します。
ここが免疫学の面倒なポイントだと思っている学生も多いので、私も気合いを入れて頑張ります!
次回→【tubu.23】研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編③~【補体について】
参考文献
エッセンシャル免疫学 第2版 メディカルサイエンスインターナショナル 笹月健彦 監訳
year note 第26版 メディックメディア 免疫pF-2
参考URL
株式会社 医学生物学研究所 自然免疫と獲得免疫
http://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Natural-immunity-Acquid-immunity.html