【tubu.25】研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編④~【獲得免疫】
もくじ!
25.研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編④~
前回→【tubu.23】研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」~免疫編③~【補体について】
( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。
前回の雰囲気でわかる医学講座では、自然免疫の武器である補体について説明しました。
今回は、獲得免疫について説明します。
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獲得免疫ってなに?
みなさんは予防接種を受けたことがあると思います。
予防接種は、病原体に対する「免疫」をつけ、病気になりにくくしたり、病気になったとしても軽症で済むようにしてくれます。
そもそも、ここでいう「免疫」とはなんのことでしょうか?
実は、この「免疫」という言葉こそ獲得免疫のことなのです!
それでは、予防接種とも関係のある獲得免疫について詳しく見ていきましょう。
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獲得免疫の隊員たち
敵が侵入してから自然免疫が働いている間に、強力な装備を整え、敵を滅ぼす部隊=獲得免疫
という話をしました。
獲得免疫は、自然免疫だけでは敵(病原体)を排除できないときに、働く部隊です。
隊員は、T細胞とB細胞の2つ部隊に別れています。
その部隊の中にも、それぞれ様々な役割を持った細胞がいるのです。
今回は、そのメンバーたちの紹介をします。
ナイーブT細胞(CD4T細胞)
まだ敵の情報を知らない新米T細胞。それぞれが別々の形の手を持っています。
この手は樹状細胞から特定の情報のみを受け取ることができます。
敵の情報がやってくると、敵をキャッチできる特定の手を持つものが増殖し、ヘルパーT細胞に変身します(分化)。
ヘルパーT細胞(CD4T細胞):司令官
特定の決まった手を持つナイーブT細胞が活性化し、増殖したもの。
獲得免疫の司令官です。
B細胞に命令を出し、抗体を作らせます。また、細胞障害性T細胞(CD8T細胞)やマクロファージに命令し敵を撃退させます。
細胞障害性T細胞(CD8T細胞):攻撃隊員
NK細胞と役割の似た細胞。ウイルス由来の破片を認識し、感染している自分の細胞ごとウイルスを撃退します。
B細胞:武器職人&工場
敵の特定の部位(抗原)にくっつくことができる抗体を作り出す細胞。
B細胞の中でも、特に抗体の大量産生に特化した細胞を形質細胞と言います。
形質細胞は、体の中でたくさんの抗体をつくっているため、B細胞より大きいのが特徴。
抗体:武器
獲得免疫の要となる武器。B細胞によって作り出されます。
免疫グロブリン(Ig)とも言われ、IgG、IgE、IgM、IgAなどがあります。
(ちなみに、IgA腎症(参照闘病日誌2)のIgAはこの免疫グロブリンAのこと。)
また、IgEは喘息や花粉症に関わっていることで有名です。
メモリーT細胞・メモリーB細胞:歴戦の勇士
一度戦った敵の情報を覚えている細胞。
同じ敵がもう一度襲来したときに、より迅速に活性化し、免疫応答を引き起こします。
予防接種の効果があるのは、メモリーT・B細胞のおかげなのです。
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獲得免疫の司令官、攻撃隊員、工場、武器、メモリーはそれぞれ誰が担っているかを把握できましたか?
次回は、自然免疫から情報を得た獲得免疫がどのように動き出すかを学びます!
次回→【tubu.26】研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」〜免疫編⑤〜【ヘルパーT細胞の役割】
参考文献
エッセンシャル免疫学 第2版 メディカルサイエンスインターナショナル 笹月健彦 監訳
year note 第26版 メディックメディア 免疫pF-2
参考URL
株式会社 医学生物学研究所 自然免疫と獲得免疫
http://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Natural-immunity-Acquid-immunity.html