【tubu.28】親になるなら知っておきたい2【風疹ってどんな病気?編】
もくじ!
8.親になるなら知っておきたい2~風疹ってどんな病気?編~
前回→【tubu.29】研修医・医学生のための「雰囲気でわかる医学講座」〜免疫編⑥〜【抗体について】
( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです
以前、妊娠中に飲んでいいもの悪いものについて書かせていただきました。
今回は、妊娠中にかかるととてもこわい病気についてです。
最近、風疹患者が増加していることが問題となっています。
2018年10月3日には、2018年度はすでに2017年度の10倍の患者が出ていることが、国立感染症研究所から発表されました。
まぁびっくり!自分の周りに風疹の人はなかなかいないので、いまいち実感が湧きませんよね。
私たちにあまり身近ではない風疹ですが、思わぬ危険性を秘めた病気でもあります。
今回のつぶやきでは、風疹の危険とワクチン接種についてお話ししようと思います。
特に、妊娠予定の方、そのご家族にはよく読んで欲しい内容です!
-
そもそも風疹って何?
風疹はウィルスが原因で起きる感染症です。
37度〜38度程度の熱が出て、身体中に小さな赤いポツポツ(発疹)ができるのが特徴です。
感染している人に触れたりするだけで感染する、ということはありませんが、くしゃみや咳などでまわりに広がります。
もし自分が風疹になったら、マスクなどをしっかりとして、家族や周りの人を守ってあげましょう。
乳幼児がかかると比較的軽症で済むことが多いですが、時に脳炎など危険な合併症を起こすこともあります。
大人がかかると、子どもより重症化し、関節炎などを引き起こすことがあり注意が必要です。
-
風疹の治療薬ってあるの?
じゃあ風疹にかかったら早めに薬飲んで治せばいいじゃない?と思いますよね。
それができたら確かにとてもいいことでしょう。
しかし、インフルエンザには、タミフルやリレンザなどの治療薬がありますが、残念ながら風疹にはそのような治療薬はありません。
基本的に、ウイルスが原因の疾患の多くは治療薬は存在しないと考えてください。
乳幼児が熱を出している時は、消化の良い食べ物などを食べさせます。
このように現段階では、対症療法しかありません。
-
妊婦さんと風疹
風疹は、乳幼児では比較的軽症の感染症ですが、妊婦さんがかかると危険です!
特に妊娠20週以下の妊婦さんが風疹にかかることが問題です。
妊婦さんが、風疹にかかった場合、お腹の中の赤ちゃんに影響が出る恐れがあります。
難聴や白内障、心臓の病気などを持って生まれてくることがあるのです。
これを先天性風疹症候群と言います。
またそれだけでなく、新生児死亡率や流産のリスクが高まります。
恐ろしい…なんと恐ろしい…。
風疹は赤ちゃんに負担をかける危険な病気なのです!
このため、風疹は予防が大切です!!!
-
風疹のワクチン
風疹には治療法がないと書きましたが、風疹は予防することができます!
現在日本では、MRワクチンと言われる風疹と麻疹に対するワクチンが公費で接種できるようになっています(幼少期)。
幼少期にワクチンを2回打っておけば、風疹に対する抗体ができて風疹を予防することができます。
また、成人になってから打ってもワクチンの効果はあります。
まだワクチンを接種してない方は、早めに済ませましょう。(注射はこわいですけどね…笑)
-
海外から入ってくる風疹
MRワクチンのおかげで、日本で発生する風疹はほぼなくなりました。
現在は、海外旅行に行った人が風疹を持ち帰ってくるケースが相次いでいます。
そしてそれが国内で流行するケースが近年多発しています。
2018年10月現在では、東京、千葉、神奈川などで風疹患者が次々と増えています。
しかし、そもそもなぜワクチンを打っている日本人が感染するのか?
確かに、ワクチンをきちんと打てば、風疹に感染しないはず…
実は、予防接種の歴史にその理由があるのです。
先ほど、私は風疹のワクチンは2回打っておけばOKとお話ししました。
しかし、現在の30〜50代男性は1回、20代後半から30代にかけての男性には1回もワクチンを受けていない人がいるのです。また女性でも、昭和54年〜平成元年生まれの人は1回しか受けていません。
(平成2年4月2日以降に生まれた人は2回ワクチンを受けています。)
これは公費助成がなく、ワクチンを打たなかったことが原因です。
(現在は公費助成があります!)
ワクチンを打っていないために30代前後の男性には風疹への免疫がない人がいます。
また、1回しかワクチンを打っていないために、免疫ができていない人もいます。
このような人が、風疹を海外から持って帰り、日本で感染を広める原因となっています。
-
風疹の抗体があるかチェックしよう!
もちろん、風疹ワクチンを打っているからと言って、必ずしも抗体を持っているとは限りません。
時には、自分の免疫が風疹のことを忘れてしまい、風疹に対する抗体が低下していることもあります。
風疹への免疫があるかどうかは、抗体を調べることでわかります。
気になる方は、各地域の保健所にご相談ください!
-
ワクチンを打ってください!
自身の赤ちゃんを守るだけでなく、家族、周囲の人を守るためにぜひワクチンを打ってください!
あなたがワクチンを打つことで、必ず誰かが救われます。
また、海外旅行などに行く際にもしっかりと調べておいた方が良いでしょう。
もし海外で風疹にかかってしまったら、一緒にいる人たちにも感染のリスクがあがります。
それだけでなくひとり渡航制限で帰れなくなる場合も…。
-
妊娠を希望する方へ
妊娠を希望する人は、まず風疹の抗体検査をぜひ受けてください。
もちろん、ご主人も一緒にチェックしてくれたら嬉しいですね。
もし検査の結果、抗体価が低ければワクチンを打ちましょう!
その時、注意することがあります!
ワクチンを打って2ヶ月は妊娠しないようにしましょう!
ワクチンの影響が赤ちゃんに出ないように、2ヶ月は妊娠しないことが大切です。
*注意:妊婦さんはMRワクチンを受けることができません。できる限り妊娠前にチェックしましょう!
-
最後に…海外旅行に気をつけて
アフリカやアジア諸国では、風疹の患者が多数報告されています。
これらの地域に行くときはくれぐれも気をつけてください!
行く前に必ず、風疹のワクチンを2回受けたかチェックしましょう!!!
以上、今回は現在流行中の風疹についてお話ししました。
先天性風疹症候群にかかる赤ちゃんをなくすために、ぜひ皆さん風疹のワクチン接種にご協力ください!
次回→【tubu.30】コンビニなどで見かける「医療っぽい」本を読んでみた【内容は真実?】
参考URL
NIID 国立感染症研究所 風疹とは?
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella.html
風疹急増に関する緊急情報 2018年10月3日
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/rubella/181003/rubella181003.pdf
国立感染症研究所 感染症疫学センター
麻疹風疹混合ワクチン接種の考え方
https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/MRvaccine_20180417.pdf
厚生労働省
風疹の感染予防の普及・啓発事業
参考文献