【tubu.43】お薬の値段が財布をいじめる?意外と差がある薬の値段【保険診療の偉大さ】
もくじ!
43.お薬の値段が財布をいじめる?意外と差がある薬の値段
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( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。
私は、PTSDとうつ病で精神科に通っています。
この病気になった時からずっと、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というお薬にお世話になってきました。
ある時、お薬が変更された際に、窓口で支払う医療費が上がってびっくりしたことがあったのでご紹介します。
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私の実体験
私が使っていたSSRIと言われるお薬には、いくつかの種類があります。
パロキセチン、レクサプロ、フルボキサミンなど名前があり、少しずつ特徴が違います。
私が病気になった時、まずパロキセチンを使い始めました。
パロキセチンは、結構長く使われているお薬で、効果がマイルドという特徴があります。
私は、主治医の勧めで少量から使い始めました。
それまで悪夢を見てうなされていたのですが、パロキセチンのおかげでだいぶ悪夢が減りました。
治療が進むにつれて、パロキセチンの量を少しずつ増やそうとしたのですが、残念ながら副作用が出てしまいました。
尿が出にくくなったり、胃の動きが悪くなったり…。もともと胃腸系が弱い私には結構ストレスでした。
そこで、主治医と話して、パロキセチンの代わりに別のレクサプロというお薬を使うことになりました。
さて、診察が終わり、お薬をもらってお会計をしようとした時、いつもの倍近く請求されていることにふと気がつきました。
一体何が起きた!?
よく見ると、レクサプロの値段が…。
お、お財布が…私のお財布に打撃が…。
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レクサプロとパロキセチンの薬価の違い
同じ作用のお薬であっても、新規か古いものかで大きく値段が異なることがあります。
また、最近話題の後発医薬品(ジェネリック)か否かでも値段が変わります。
例えば、パロキセチン10mgは、2000年に発売されたパキシル10mgの後発薬品です。
パキシル10mgの値段は1錠あたり、82.80円。一方、後発のパロキセチン10mgはメーカごとに違い高くても1錠あたり44.20円、一番安いものでは23.60円です!何と、4倍も違う…。
2011年に発売されたレクサプロ10mgは、202.30円!(2018年4月現在)
何ということでしょう。パロキセチンの一番安いものと比較すると10倍も違います。
もし、窓口負担を三割とした場合、どれくらい支払いは変わるのでしょう?(3割負担の設定)
パロキセチン10mg(23.60円/錠) を毎日1錠飲んだ場合、1週間のお薬代金
23.60円×7×0.3=49.56円≒50円
レクサプロ10mg(202.30円/錠)を毎日1錠飲んだ場合、1週間のお薬代金
202.30×7×0.3=424.83円≒425円
私は、他に副作用を抑える薬や頓服薬も服用していたので、一概に値段だけでは比較できませんが、1錠の違いでかなり金額の差があることは体感いただけたでしょうか?(約8.5倍)
私の場合、レクサプロに変更してから、副作用を緩和するためのお薬が大幅に減りました。
確かに高価ではあるのですが、長期スパンで考えると副作用を減らし、より早く治すという点では非常に良い薬だと思っています。
高いものには高いだけの理由があるのかと体感した出来事でした。
以上、薬価の切実なお話でしたがいかがでしたか?
研修医時代はあまり薬価のことなど考えていなかったのですが、自分が患者になり毎月毎月薬代を払うようになって考え方が変わりました。
毎週、毎月、まして長期になるとなおさら切実です。
自分が処方するときは、ただ有効性や副作用だけを考えるのではなく、お薬の費用対効果まで考えて処方できたらいいなと思っています。
次回→【tubu.44】最近の医師国家試験の問題を解いてみた①【銃創・爆傷患者診療指針】
参考URL
薬価サーチ
https://yakka-search.com/index.php?s=610443045&stype=9
https://yakka-search.com/index.php?s=622069502&stype=9
参考文献