【tubu.45】最近の医師国家試験の問題を解いてみた②【爆傷ってなに?】

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45.最近の医師国家試験の問題を解いてみた②~爆傷ってなに?~




( @∀@)

みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。

前回は、国家試験を紹介したのにも関わらず、まだ答えを明かしていませんでした…。

今日はガイドラインから問題の答えを探してみたいと思います。

 

その前にもう一度問題を確認…。

【問】圧力波による1次爆傷を受けにくいのはどれか。

a 眼球

b 鼓膜

c 肺

d 胸椎(*背骨の一部)

e 消化管(*胃とか腸とかのこと)

第112回医師国家試験C問題5番より

 

 

  1. 爆傷って何?

    爆傷って、音だけ聞くとつい「爆笑」に聞こえてしまい、会話では話しづらいですね…。苦笑

     

    さて、この爆傷ですが、その名の通り、爆発によってできる怪我のことを言います。

     

    実はこの爆傷にはいくつかの段階があるのです。

     

    1次爆傷

    まず、爆発が起きると凄まじい衝撃波が人間を襲います。その衝撃波で、空気と水が混在する柔らかい臓器が損傷します。例えば、肺、消化管、鼓膜、眼球など…。これを1次爆傷と言います。

    爆発が起きて鼓膜が破れたというのは聞いたことがあるかと思います。

    この中で、特に問題になるのは、肺損傷と消化管の損傷です。

    衝撃波で肺が破れて、気胸になったり、血胸になったりするだけでなく、無呼吸・徐脈・低血圧に陥る可能性のあり非常に危険です。

    また、衝撃波で消化管が破れて、腹膜炎になることもあります。

    肺・消化管の損傷は、爆発で生き残った後の死亡原因となりえます。

     

    国家試験の問題は、この1次爆傷のことを聞いているので、答えはd胸椎ですね。

     

    2次爆傷

    爆発が起きると、細かい破片など色々なものが飛んできます

    飛んできたものが体を貫いたり、目に刺さったりしてできる傷を2次爆傷と言います。

    (穿通性外傷・眼球内異物)

     

    鉄の破片だけでなく、木の破片が飛んできたりするため、病院で体の中に入り込んだ異物を検索するためにはCT

    が有用です。

     

    3次爆傷

    爆風で自分自身が飛ばされて叩きつけられることがあります。また、建物が崩壊して下敷きになることもあるでしょう。

    これによってできた傷を3次爆傷と言います。

    特に、建物や瓦礫の下敷きになるとクラッシュ症候群になることがあります。

     

    例えば足が瓦礫の下敷きになると、その部分に血流が行かないので細胞が壊れ始めます。そして助け出された時に血流が再開すると、細胞が壊れて作られたミオグロビン、クレアチニン、カリウム、リンなどが血液の流れに乗って全身を巡ります。すると、腎不全や循環不全を起こして死に至ることがあります。

     

    4次爆傷

    爆発が起きると、熱や化学物質、放射線が周囲に撒き散らされます。すると、火傷をしたり、化学物質によって中毒になったり、放射線に被曝したりするかもしれません。

    これらを4次爆傷と言います。

     

    指針では、爆傷を見たら、必ず放射線と化学物質による汚染を念頭におくように書かれています。

     

    5次爆傷

    爆弾が爆発すると、大きな怪我をするだけでなく、恐怖を感じたりなどして精神的に負担がかかります。

     

    これによって、もともとあった基礎疾患が悪化したり、精神的に不安定な状態となることがあります。

    これらを5次爆傷という人もいます。

     

    確かに、目に見える傷ではなくとも、心に大きな傷を負うと、後々、生活に差し支える可能性があります。




  2. 爆発から身を守る方法

    この記事を書いているときに、高校生の頃に購入した民間防衛という本のことを思い出しました。

    これは、スイス政府が出している本です。自国民が自分たちでテロ、戦争、災害から身を守り、助け合う方法を紹介しています。スイスは自衛への意識が高い国ですね!素晴らしい!

    (なぜ、高校生の私がこんな本を買ったかについては、記憶が定かではないのですが…笑)

     

    この中で、なんと爆発が起きた時の対応方法を紹介しています。

    しかも、医師国家試験に出てきた「圧力波」のことも書かれています!

    加えて、爆発における「圧力波」「熱」「放射線」の性質をあげ、それぞれへの注意点を紹介しています!すごい…。

     

    今回は、この本から爆発から身を守る方法を紹介します。

     

    もし、不意に爆発の閃光を見たときは、「すぐそのまま床や地上に身を伏せて、目を閉じ、顔や両手を隠しなさい」。そして圧力波が通り過ぎて物が散乱しなくなったら、肌の露出部を覆って、マスクをつけるように促しています。

    この方法で、1次爆傷や2次爆傷をかなり予防することができそうですね。

     

    ただ、「この民間防衛とかいう本、日本人の役に立つのかしら…」という声も聞こえてきそうですが…。

     

    「民間防衛」には他にも応急手当ての方法や、瓦礫に埋もれた人の探索伝染病の拡大防止消火方法なども記されており、爆発だけでなく私たちが災害に見舞われた時に使えそうです

    皆さんも災害対策に、ぜひ読んでみてはいかがですか?

    (ちなみに「民間防衛 日本版」も出ています)

  3. 爆発でたくさんのけが人が出たら?

    では爆発が起きて、多数の死傷者が出た場合、どのように対応するのでしょう。

     

    現場から脱出する

    爆発現場は、もちろん危険です。もしかすると、他にも爆弾があって、さらに爆発する可能性があります。

    そのため、まずは患者さんを現場から運び出し、救護所の代わりとなる直近の病院に運びます。

    爆発現場でトリアージするのはNGですよ!

     

    患者さんは、放射線や化学物質に汚染している可能性もあります。自分の身を守るために、防塵・N95マスクをつけて診察にあたります。

     

    治療のポイント

    病院で、治療のポイントとなるのは1〜4次爆傷です。

    治療を行うときは、患者さんが、爆発した場所からどれくらいの距離にいて、閉鎖空間だったのか、中毒の危険性はないかなどを確認する必要があります。

     

    特に、室内などの閉鎖空間で爆発が起きると、1次爆傷のリスクが上がります。

     

    また、爆傷によって、色々な臓器が損傷しえます。

    それぞれの怪我に応じて、対応は変わります。(これは指針に細かく書いてあるので本つぶやきでは省きます。)

    必要があれば、耳鼻科や眼科など専門科と連携して、鼓膜損傷・眼球損傷などに対応しましょう。

     

    さらに、体に異物が入ったり、色々な怪我をしたりすることで、破傷風などの感染症になる可能性もあります!(tubu.3738参照)

    これらを予防することも、爆傷治療のポイントになります。

     


まだまだ書くべき内容はたくさんあったのですが、あまりにも細分化されていたので今回はざっくり書いてみました。

自身が爆発の被害者になる可能性もあるので、「民間防衛」に書かれている身を守る方法も一緒に紹介しました。

 

ぜひ皆さんも、一度「銃創・爆傷患者診療指針」を読んでみてください。

指針だけでは、なんだかイメージがわかない人は「民間防衛」がオススメです。

 

この知識が役に立てばいいのですが、できれば役に立つような出来事は起きて欲しくないと願うDr.かづきちでした。

 

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