【tubu.47】「市政だより」を読んでみた【検診、救急】
47.「市政だより」を読んでみた
前回→【tubu.46】うつ病体験記~デイケアの重要性~【精神科デイケア】
( @∀@)
みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。
普段、ポストに入っている市政だより。市町村からのお知らせが色々と載っていますよね。
私は、学生時代は市政だよりにあまり興味がなく、ポイと捨ててしまうことが度々ありました。
研修医になってからは忙しく、家に帰って読む気力さえない…。
市政だよりは私の生活にあまり関わらないものになっていました。
しかし、病気になって、いろいろな手続きをするときに、「市政だより」に目を通すようになりました。
すると…
「え!?託児付き検診とかあるの!?」とか「小児専用の救急電話相談もある!」など意外な発見の連続でした。
「市政だよりって色々役に立つことが書いてある!」と実感したので、今回はそのお話をしたいと思います。
もしかしたら、あなたの生活や仕事に役立つ情報が隠れているかもしれませんよ!
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市政だよりってそもそもなに?
市政だよりってそもそもなんだろう…。
市政だよりはその名の通り、市の運営や市議会での取り組みなどを載せています。
しかし、それだけでなく、市で行われるイベントや、職員募集、健康相談、検診の情報など私たちの生活に書かせない情報も色々と載っています。
また、その季節に流行しやすい感染症の情報も載っているのでかなり役に立ちます。
今回は、これらの情報で、私が気になったことを紹介します!
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急な病気になった!怪我をした!そんな時はどうする?
私が研修医時代、夜中に急病になって救急車でやってきた人や、歩いて救急外来を受診した患者さんにたくさん出会いました。
その中で、救急車を呼ぶか迷ったという患者さんがいました。
確かに、いざという時に救急車を本当に呼ぶべきか迷うこともあるでしょう。医療関係者であったとしても迷うことがあると思います。
もし、自分で救急外来に行くとしても、夜間救急外来は地区によっては病院ごとに持ち回りしていることもある*ので、いざとなったときにどこにいっていいかわかりません。
*救急外来を複数の病院が持ち回りで担当することを輪番制と言います。
そんなときに役立ってくれるのが、市政だよりです。
市政だよりは、救急車を呼ぶべきか迷った時の電話連絡先や、その週や月の救急担当病院を書いてくれています。迷ったら、まず市政だよりを確認しましょう。
もちろん、市のインターネットにも書いてあります。しかし、市政だよりには見開きの1ページ目に書いてあるので、すぐ目につきます!
他にも市政だよりにはこんなことも書いてあります。
私の住んでいる都市は、病院ごとの持ち回り制ではなく、急患診療センターがあります。実は、インターネットから、その急患診療センターの待ち時間、診療状況を確認できるシステムがあるそうです。
なんと、便利!!
こんなこと、市政だより読まなければ知らなかった…。
せっかくなので、市政だよりをもっと活用したいですね。
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がん検診の費用っていくらかかるの?
みなさんはがん検診に行っていますか?
その検診についても市政だよりに書いてあるのですが…
実は、市町村では結構お得な価格で検診を行っています。
ちょっと価格を見てみましょう。
検診名 対象年齢 自己負担額 胃がん検診 40歳以上 600円 肺がん検診(喀痰検査なし) 40〜64歳 500円 肺がん検診(喀痰検診あり) 喫煙者・65歳以上 700円 大腸がん検診 40歳以上 500円 乳がん検診 40歳以上 40歳代
50歳以上
1300円
1000円
子宮頚がん検診 20歳以上 400円 *福岡市の場合
普通、私が持病で内科を一回受診すると2000円以上かかるのに…。
検診一回が1000円以下だと、すごくお得だなと感じてしまいます。
では、全国的には検診費用はどうなのか、調べてみました。
検診名 検診単価* 自己負担額 胃がん検診(胃部X線) 7103円 1505円 肺がん検診(喀痰検査なし) 2483円 527円 肺がん検診(喀痰検診あり) 5129円 975円 大腸がん検診 2366円 584円 乳がん検診(乳房X線) 5111円 1291円 子宮頚がん検診 6752円 1396円 *検診単価とは、検診で実際にかかっている費用のことです。
**平成27年度「市区町村におけるがん検診の事業費に関する調査」 厚生労働省健康局がん・疾病対策課調べ
表を見てみると自治体ごとにかなり違うようですね!
それにしても、検診単価に対して自己負担額って約2割なんですね。お得…。
がん検診が意外とお得に受けられることを知りませんでした。
私は、がん検診を勧める側なのに知識不足でお恥ずかしい限りです。
これを知っていたら、患者さんにもがん検診を勧めやすそうです!
さらに、託児付き検診なるものも世の中にはあるそうです。子育て中の人も、安心して検診に行けるいいシステムですね!
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色々な相談窓口がある
市政だよりには、色々な相談窓口の情報があります。
例えば、産後のお母さんのための相談窓口。
産後のお母さんは、メンタル不調をきたすことがあります。このようなお母さん向けに、専門の医師が相談を受け付ける窓口があります。
他にも、発達障害の相談窓口、心の相談窓口などがあります。
また、医療以外にも税金の相談窓口や、年金の窓相談口など、私たちの生活に欠かせないけれどどうしていいかわからない内容への相談窓口もあります。
もし、何か困ったけれども相談先が見つからないあなた、市政だよりに思いがけない手助けのヒントがあるかもしれませんよ。
今まで、いくつかの都市で生活してきましたが、ここまで市政だよりをじっくり読んだことは初めてでした。
学生時代にポイポイ捨てていたことをとても反省しています…。
色々重要な情報が載っている市政だより…社会人になってその大切さを痛感しています。
医師として患者さんに接するときに役に立つ情報もたくさんありましたので、ぜひたくさんの人に市政だよりを活用していただけたらいいなと思います!
*市政だよりに目を通せば、医師国家試験の公衆衛生に役立ちそうだなと思いました。
次回→【tubu.48】COPDってどんな病気?【慢性閉塞性肺疾患】
参考
福岡県福岡市広報課 福岡市政だより2018年11月15日版
福岡市急患診療センター http://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/chiikiiryo/kyukyuiryo-syobo/6820_2.html
厚生労働省 平成27年度「市区町村におけるがん検診の事業費に関する調査」 厚生労働省健康局がん・疾病対策課調べ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000112904.pdf