【diary12】Dr.かづきちの闘病日誌【血腫と尿カテと私】

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前回→安堵、そして違和感




12.血腫と尿カテと私

さて、前回CTの結果で膀胱に血腫を見つけてしまったかづきち。

 

今回は一体何が起きるのでしょう。




 

その日、造影CTの説明を受けた私は、とりあえず出血が止まっていて安堵していました。

膀胱に血腫があるものの、尿カテーテルから出てくる尿はだんだんと綺麗になっていました。

 

説明後は、生理食塩水の点滴を続けながら、尿カテーテルを入れたまま、尿の色が改善するのをベッドの上でじっと待っていました。

 

そして夜になりました。

 

なんだか、尿カテが変です…。

昼間と比較して、明らかに尿の排出が悪いのです。

おかしいなと思って、カテの管をつまみながら様子を見ていました。

 

すると、さらにおかしなことが起きました。

なぜか尿意を感じるのです。

普通なら、尿カテを膀胱の中に入れているときは、尿がカテーテルを伝って尿が出て行くので、尿意を感じません。

しかし、不思議なことに尿意が出現したのです。

 

私には、意味がわかりませんでした。が、しかし、どんどん尿意は強くなっていきます。

耐え難くなった私はトイレに駆け込みました。

すると、あろうことか、尿カテの管の外側から尿があふれ出しました!

 

これにはびっくりしました。いや、びっくりを通り越して、凄まじく冷静になりました。

だって、管の外から尿が溢れてるだけでなく、今にも尿カテが抜けそうなんです。

そのとき、膀胱の入り口にバルーンが引っかかって激痛が起きました。

これはピンチ!私の脳内の医者スイッチがオンになった瞬間でした。

 

「これは。尿カテに血腫が詰まったな…それで膀胱に尿が溜まって、その圧で尿カテが外に出てきたんだ」

 

溢れ出る冷や汗の中、これ以上、尿カテが動かないように片手で必死に固定しました。

そしてもう一方の手で急いでナースコールを押し、看護師さんに説明しました。

私「今、膀胱内の血腫が尿カテに詰まって、尿が膀胱内に充満しています。そのため、圧で尿カテが抜けそうです。」

 

看護師さん「え、血腫ってどういうことですか!?引き継ぎの時に連絡ありませんでしたが!?」

私「とにかく血腫が尿カテに詰まって、尿が出ないんです。今すぐ尿カテを抜いてください!!!じゃないと膀胱内のバルーンで尿道損傷起こしちゃいます!早く!!!」

 

看護師さん「わかりました!抜きますね!!!!」

私「抜いたら急いで別の尿カテを入れてください!このままだと膀胱タンポナーデになります!!!」

そして、看護師さんの素早い対応で、なんとか尿道を傷つける前に尿カテを抜くことができました。

 

しかし、肝心の膀胱には尿がパンパンに詰まったまま…残念ながら未だ尿道の出口は血腫で塞がれています。

 

看護師さんが、新しい尿カテを持ってきている間に案の定、膀胱圧はマックスになりました。

 

ついに膀胱圧が耐えきれなくなり、巨大血腫が尿道を通って出てきました。そのサイズ、なんと500円玉。しかも2つ…絶句しました。もう激痛でした。

しかし、激痛に喘いでる場合ではありません。一刻も早く、尿カテを入れて尿を出さないと、膀胱だけでなく腎臓にまで悪影響が出てしまいます。

そのときの私は本当に冷静でした。

 

新しい尿カテを持った看護師さんがやってくると、血腫が排出されたことを伝え、素早く尿カテを入れ替えてもらいました。

 

もちろん尿カテを入れるのは、とっても痛いです。でも、血腫よりマシです。

 

尿カテを入れると、膀胱内に溜まっていた尿がどんどんカテを伝ってバッグにたまりました。

なんと一時間で1000ml。やっぱり、血腫が詰まって膀胱がパンパンに膨れ上がっていたということがわかりました。

 

こうして無事、血腫の危機を乗り越えることができました。

でも、無事に乗り越えたからこそ思うんです、もし私が医者じゃなかったらどうなっていたんだろうと…。

 

次回→医師として、患者としての不信感




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