【tubu.49】COPD患者さんで注意したいこと【筋トレで予防!】

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49.COPD患者さんで注意したいこと

 




前回→【tubu.48】COPDってどんな病気?【慢性閉塞性肺疾患】

 

( @∀@)

みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。

前回tubu.48で、COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは「肺や気管支が傷ついて呼吸がうまくできなくなる」病気というお話をしたと思います。

 

肺に空気がたまり、横隔膜が下がってきたり、胸が樽のように膨らんだり、口をすぼめて呼吸したり…などとお話ししました。

 

今日は、COPDの患者さんは、「どのようなことに注意すればいいのか?」「他にどのような病気を合併するか?」ということをお話ししたいと思います。




  1. 息が吐きにくくなると…

    COPDの患者さんの特徴は息は吸えるけど、吐くときに気管支が潰れてうまく吐き出せないということでした。

     

    そのため、息を吐くときに、呼吸筋を頑張って使うため、他の人よりエネルギーを使います。

    するとカロリーを消費して痩せやすくなります。

     

    痩せるならいいじゃない…いえいえそんなことはありません。

     

    COPDの患者さんは、肺が大きくなって、横隔膜が下におりてくるということでした。

    下に、下がってきた横隔膜は胃などの消化管を圧迫します。

    すると、すぐ満腹になってしまいます。これでは、ご飯がきちんと食べられません。

    COPDの患者さんは、痩せやすい上にご飯が入りにくい…このためどんどん痩せていきます。

     

    痩せすぎると、人間の体はカロリーを得るために筋肉や骨を壊し始めます

     

    呼吸筋も例外なく壊されます。ただでさえ呼吸筋に頑張ってもらわなければならないのに、これでは呼吸もどんどん苦しくなります。で、さらにご飯が入らなくなる…。

     

    というような、悪循環に陥ってしまいます。

     

    ある論文では、痩せているCOPDの患者さんは予後が悪いと指摘しています。

     

    このため、COPDの患者さんはある程度、高いカロリーを摂取することが進められています。

     

    しかし、栄養を取るのって意外と難しい…。

    私も、病気で食事が食べられない時がありました。その時、ハイカロリーな栄養補助食品を飲んでいたのですが(tubu.20 参照)、なかなか思うように喉を通らず、かなり辛かったです。

     

    きっと、COPDの患者さんも辛いだろうな…と思ってしまいます。

     

  2. 肺が原因で心臓に負担がかかる?

    実は、COPDになると心臓に負担がかかります。

     

    心臓と肺のつながりを考えると理由がわかります。

    心臓は、肺に血液を送り出し、血液中に酸素を取り込んでいます。

    そして、その血液を全身に送り出しています。

    では、COPDでは何が起きるのか???

    COPDで肺胞が壊されてしまうと、肺胞の壁にある血管も壊れてしまいます。

     

    このため、肺の中の血管が少なくなってしまい、心臓は肺に血液を送りにくくなります

    血液を肺に送るためには、より圧をかける必要が出てきます。

    すると心臓に負担がかかります

     

    これが、心不全の原因になると考えられています。

    (他にも低酸素による肺血管の攣縮が原因の一つと言われていますが、ここでは省略します。)

     

    肺が傷つくことで心臓に負担がかかること、これを肺性心と言います。

     

    では、肺性心を予防するためには何ができるのでしょう?

    それは、筋力トレーニング!

     

    意外に思われる方もいるかもしれません。

    実は筋力トレーニングをすると、普段の酸素消費量を減らすことができます。

    そうすることで、心臓の負担を減らすことができるのです。

    体にしっかりと筋肉があれば、運動時の心臓の負担も減るので、肺性心を予防することができると考えられています。




  3. COPDでがあると肺炎になりやすい

    実は、COPDの患者さんは、肺炎になりやすいのです。

     

    COPDは喫煙歴のある高齢者に多い病気です。

    もともと、高齢者は免疫が低下しているので、肺炎になりやすいです。

     

    またCOPDでは、長期にわたって気管支が炎症を起こしている(慢性気管支炎)ので、が作られています。

    しかし、COPDでは普通の肺と違って、息をうまく吐くことができない、気管支が傷ついているので痰が引っかかりやすいのです。

    このため、普通の人と比較し、痰を出しにくくなってしまいます。

    するとそこで、菌が繁殖し、肺炎になってしまうのです。

     

    COPDの患者さんが肺炎になると大変です!

    ただでさえ、うまく息をすることができないのに、肺炎になってしまうと、さらに呼吸が難しくなります。

    これは苦しいですよね…。

     

    だから、COPDの患者さんはできるだけ肺炎にならないように気をつける必要があります。

     

    今回は、肺炎予防の方法を2つ紹介したいと思います。

     

    まず1つは、理学療法です。簡単に言うと、痰を排泄する訓練を行います。これを去痰訓練と言います。

     

    もう1つは、肺炎予防のワクチンです。高齢者では、肺炎球菌による肺炎が問題になることがあります。

    このため、ぜひ肺炎球菌ワクチンを打ちましょう!

    (最近では、高齢者の肺炎球菌ワクチンは定期接種にも組み込まれています。気になる方は厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/haienkyukin/index_1.htmlでチェックしてみてください!)

     

     


以上、COPDで合併しうる病気や症状についてお話ししました。

 

COPDは「ただ肺が壊れて呼吸しにくくなる病気」というわけではありません!

タバコって怖いですね…。

 

1人でも多くの方が禁煙してくださるといいなと思っているかづきちでした。

 

次回→【tubu.50】なぜフグ毒は怖いのか?【テトロドトキシン】

 




参考文献

やさしイイ呼吸器教室 ベストティーチャーに教わる全27章 日本医事新報社 長尾大志 著

 

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