【diary13】Dr.かづきちの闘病日誌【医師として、患者としての不信感】
前回→血腫と尿カテと私
13.医師として、患者としての不信感
前回の闘病日誌では、血腫がつまり、尿がカテーテル横から溢れ出し、大変なことになってしまいました。
今回は、騒ぎを聞きつけた主治医が真夜中にやってきます。
さて、尿カテを入れ替えて、一時間で1000mlの尿が無事排出されました。
騒ぎを聞きつけてまずやってきたのは、くましゃんでした。
くましゃんは状況を聞いて、
「尿が排出されなかった状況は、膀胱タンポナーデだったのではないか?水腎症になったりはしていないのか?」と問いました。
膀胱タンポナーデとは、血腫が尿道に詰まって尿が排泄されなくなる状態です。
確かに、血腫が詰まって大変なことになっていたので、私も膀胱タンポナーデだったのではと思っていました。
しかも、血腫が通り過ぎたのは激痛でたまらなかったし…。
さて尿が、一気に1000ml近く排出され落ち着き、真夜中になりました
日付が変わってしばらくしたら、主治医が超音波装置を持って検査にやってきました。
私たちは、状況を逐一主治医に説明しました。
主治医はその話を一通り聴き終えた後、膀胱と腎臓をチェックしました。
「うん大丈夫そうですね」
え?それだけ???
くましゃんは、「腎盂広がってませんか?水腎症になってませんか?」と問いましたが、主治医からは「大丈夫だよ」としか返答はありませんでした。
膀胱タンポナーデになっていたかもしれないことや、看護師さんに指示が出てなかったこと、尿カテが抜けそうになり激痛が生じていたことには、全く触れられませんでした。
もちろん謝罪や、大変だったねの言葉も全くありませんでした。まるで、そんな事件はなかったかのよう…。
私は、同じ医師として絶句しました。あまりの衝撃にきっと夢を見てるのだろうと思うことにしました。
あまりの疲労で疲れすぎていたため、それ以上考えるのはやめましたが、この頃から主治医への不信感が溜まり始めていました。
「このままで大丈夫なのだろうか…」
くましゃんも、私もこれからの入院生活に嫌な予感しかしませんでした。
尿カテを替えてくれた夜勤の看護師さんが心配してくれることが、唯一の救いでした。
結局くましゃんは、朝方まで付き添ってくれました。
そして、ほとんど眠れず朝になりました。
その日から、目の前に出てきたご飯を食べることが明らかに苦しくなりました。
胃がキリキリと痛くて痛くてたまらないのです。
あまりのストレスで、胃が痛くなってしまったのでしょう。
もともとあった逆流性食道炎も悪化したようで、酸も上がってくるようになりました。
その日の朝、腎臓内科の先生(主治医ではない先生)がやってきました。
「昨日は大変だったね。今は大丈夫?」
医師から初めてその言葉を言われて、とても安心したのを覚えています。
その先生曰く、朝カンファで報告があって心配だから見にきたとのこと…。
そう言ってもらえるだけで、とても安心しました。
患者さんもこういう気持ちなんだなと痛感できました。声かけがあるだけで、信頼度や安心感が違うのを体感できました。
しかし、その先生は、昨日カテが抜けかけて尿が横から漏れたこと、一時間で尿が1000ml出たことを知りませんでした。話を聞く限り、朝カンファで主治医からそのことの報告がなかったようです。
さらに、主治医への不信感が増していきました。
次回→束の間の平穏…?