【tubu.53】知ってるようで知らないボツリヌス③【筋肉が動かなくなる仕組み】

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53.知ってるようで知らないボツリヌス③




( @∀@)

みなさんこんにちは。Dr.かづきちです。

 

前々回前回ボツリヌス菌とその毒素のお話をしてきました。

 

毒素なのに治療として使われることもあります。

 

しかし、そもそもなぜボツリヌス毒素で筋肉が動かなくなるのでしょう?

 

今回は、神経と筋肉の構造から、筋肉が麻痺するメカニズムに迫ります。




 

  1. キーワードは「アセチルコリン」

    ボツリヌス毒素は、神経の終わりのところに作用します。

     

    ではまず、正常な神経の仕組みを思い出してみましょう。

     

    以前、フグ毒の回で、神経は脳と筋肉をつなぐ銅線みたいなものという話をしました。(tubu.50

     

     

    神経は、細胞の外側がプラスで、細胞の内側がマイナスです。(静止膜電位)

     

    このプラスとマイナスが入れ替わりながら(電位変化・活動電位)、神経の末端に情報を伝えていきます。

     

     

    さて、末端に辿りついた電位変化は、そのまま筋肉に伝えることはできません。

    実は神経と筋肉の間には、小さな隙間があるのです。(神経筋接合部)

     

     

    そこで、別の情報に置き換える必要があります。

    これが、アセチルコリンと言われる物質です。

    アセチルコリンは、神経終末に存在し、シナプス小胞と言われる袋に包まれています。

     

  2. ボツリヌス毒素の前に

    ボツリヌス毒素がどう効くのか…ということを考える前に、私たちの神経と筋肉はどのような関係にあるのでしょうか?

     

    それでは、神経から筋肉に情報が伝わり、筋肉が収縮するまでの仕組みをご一緒に学びましょう!

     

    神経の末端に、先ほど説明した電位変化がやってくると、まずカルシウムチャネル(Caチャネル)というものが反応します。

     

     

    すると、カルシウムチャネルが開き、細胞の外側にあったカルシウムが神経の中に流れ込みます。

     

    神経の中に入り込んだカルシウムは、シナプス小胞に作用します。

    そして、シナプス小胞内にあったアセチルコリンを神経筋接合部に放出するのです。

     

    放出されたアセチルコリンは、筋肉の表面にある手(受容体)にくっつきます。

    これによって、筋肉に情報が伝わり、筋肉が収縮します。

     

     

    このように、神経と筋肉はアセチルコリンを介して情報を伝達しているのです。

     




  3. ボツリヌス毒素が効く場所はどこ?

    では、ボツリヌス毒素はどこに作用するのでしょうか?

     

    実は、ボツリヌス毒素はシナプス小胞からアセチルコリンが放出されるのを邪魔します。

     

     

    ボツリヌス毒素が邪魔をするせいで、神経の末梢に電位変化がたどり着いたとしても、筋肉にその情報を伝えることができなくなります。

     

    このため、筋肉は神経からの情報を受け取れず、収縮することができなくなります。

     

    これが、筋肉が動かなくなる理由です。

     

    ボツリヌス毒素は、このように神経と筋肉が情報を受け渡しするところを邪魔するのです。

     

     


以上、今回は絵に力を入れて、ボツリヌス毒素の作用をご説明しました。

 

からだの正常な仕組みを学ぶこともできる絵になっていますので、医学生の皆さんは是非、絵をよく見てみてください!

 

これで、ボツリヌスシリーズを終わります。3回にわたっておつきあいいただきありがとうございました。

 




参考文献

戸田新細菌学 改定33版 破傷風 p602〜p604  南山堂 編集 吉田眞一

ハリソン内科学 第5版

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