【diary26】Dr.かづきちの闘病日誌【どうして空は青いのか】
前回→まさかの転院搬送
26.どうして空は青いのか
前回、病院救急車で泌尿器科病院へ搬送されることになりました。
今回は、搬送先でのお話です。
私を乗せた病院救急車は、国道を走って目的の病院に向かいます。
同乗者のN先生と二人、緊張の面持ちで救急車の窓から見える景色を眺めていました。
でも、私には全てが灰色に見えます。目に映るどの車も建物も全てがくすんでいました。
この時、母は事前に搬送先に向かっているということでした。
しばらくすると救急車は、目的地に到着しました。
ゆっくりと救急車のドアが開き、ベッドが地面に降ろされます。
そして、担当の看護師さんにベッドが引き渡されました。
救急車から降ろされる時、病院入口で母を見つけ、とても安堵しました。
院内をベッドが進みます。
私は、院内の処置室のベッドに乗せられました。
緊張のあまり、ベッドの周囲をなんどもキョロキョロと見回していました。
その時、ふとN先生が私に話しかけてきてくださいました。
先生自身も、病気をして苦労したことがあるとの話でした。
何気ない会話だったのですが、非常に安心しました。
そしてふと、あることに気がつきました。
実は、入院当初からこの先生は、なぜか親身だなと不思議に思っていました。
この先生の話を聞いたときに、自分が病気をして苦労した人は、より親身になれるということに気がつきました。
今、私は病気で辛い目に遭っているが、この経験がいつか患者さんに役に立つ日が来るかもしれないと感じました。
そんな矢先、泌尿器科担当の医師と看護師がやってきました。
膀胱に入れるカメラ(膀胱鏡)とその痛みに関する説明をしてくださいました。
どうも、若い女性は痛みが強いとのこと…。
尿道カテーテルの経験から、尿道が痛いのは嫌です。激痛なんてもう二度と味わいたくない…。
すると、先生が配慮してくださって、座薬の痛み止めを使うことになりました。
座薬を入れて、しばらくすると、ベッドから車椅子に乗せられました。
ずっと寝たきりだったので、座るのさえも辛く感じました。
そしていよいよ、処置台に連れて行かれます。
処置台はまるで産婦人科の椅子のような感じです。
処置台に座って準備をすると、目の前にカーテンがかけられ、処置台が斜め上方向に動き出します。
カーテンの向こう側で、担当医がまず尿道カテーテルを抜き、いよいよ膀胱鏡を入れることに…。
膀胱鏡の映像は私にも見えるように移動していただきました。
担当医の声かけで膀胱鏡が入ります。…あれ、思ったほど痛くない…。
気がつくと、自分の膀胱内が映像として写っていました。
中には血腫はほとんどなく、綺麗でした。(よく見ると尿道カテーテルが入っていたところが点状出血していましたが…。)
映像では、新しく作られる尿は清澄で、腎臓からの出血はもうないようでした。
気がつくとあっという間に、膀胱鏡は抜かれていました。
この時に、膀胱内に残った血腫も全て洗い出されたそうです。
処置はこれで終わり!もう尿道カテーテルを入れなくていい!!!!
出血もなく、緊急手術の必要も無くなりました!!!!
とても、とても嬉しかった!!!!!!
あまりの喜びに、泣きそうでした。
腎臓内科の部長、N先生、母、くましゃん、看護師さん…みんなへの感謝の気持ちがこみ上げてきました。
全ての処置が終わり、私たちは、乗ってきた病院救急車で入院先の病院に戻ることになりました。
搬送先から戻る救急車の中…。
窓の隙間から、とても綺麗な青空が見えました。
今までの人生で見たどの青空よりも美しかったのです。
生きててよかったと痛感した出来事でした。
どうして空が蒼いのか。それは私が幸せだから。
次回、主治医(元主治医)が帰ってきてしまいます。まだまだ事件は続きます。
次回→番外編3:私とリハビリ1