【diary29】Dr.かづきちの闘病日誌【お家に帰ったよ】
前回→病室から家まで
29:お家に帰ったよ
前回、二週間のつらいつらい入院生活を終えて、私はようやく家に帰ってきました。
しかし、家での生活は以前とはガラリと変わってしまいました。
退院当日。
よろよろしながらスーツケースを押し、ようやく家に帰ってきた私。
気がつけばベッドの上で、沈むように意識を失っていました。
入院中、夜が怖くて全然眠れていなかったせいでしょうか。
数時間、ぐっすりと眠っていたようです。
目が覚めたのは夕方。
ハッと目が覚めた私。
そろそろくましゃんが家に帰ってきます。
夕食の準備をしなくては…
そう思って立ち上がろうとしたところ、体が動かない。
まるでたくさんの重りがくっついているかのよう。
立ったり座ったりで、すぐに息切れ。
二週間の入院でこんなにも体力を失ってしまったのか…。
それでもよろよろと歩き出し、なんとか最低限の準備をしようとしました。
そこに、くましゃんがお仕事から帰ってきました。
家に帰ってきたくましゃんは、疲れていたもののとても幸せそうでした。
「おかえり!」
くましゃんの安堵した表情が今でも忘れられません。
二週間の地獄を思い出すと、私もついうるうるしてしまいました。
その日はくましゃんがほとんど家事をしてくれ、私は椅子に大人しく座っていました。
さあ、夕食を終えて、お風呂に入ろう!
何気なく鏡の前に立つと、目を疑いました。
二週間前とは、どう見ても別人がそこに映っているのです。
ガリガリで、やつれていて、顔色もとても悪い、目だけがギラギラしている人…。
これが私か…。ガリガリになった体を触りながら、元に戻るのに一体どれくらいかかるのだろうと思っていました。
ショックでしたが、ひとまずお風呂に入ることにしました。
だって、久々のお風呂が私を呼んでいる!!!
しかし、座ったり立ったりがうまくできない中、どうやってお風呂に入ればいいのでしょう。
すると、くましゃんがお風呂用の小さな椅子を用意してくれました。
くましゃんナイス!!!
そして、くましゃんの手を借りながら、お風呂で椅子に座ってシャワーを浴び、久々の湯船に浸かりました。
ああ幸せ。
悲しかったのは、湯船の中で体を安定させることができず、短時間しか浸かれなかったこと。
ほんのちょっとお湯に浸かるだけで、体力の半分以上がなくなり、お風呂から上がる頃にはなんと息切れ状態…。
お風呂ってこんなに疲れるものだったっけ!?
こうして、家の中で苦労しながら動きまわり、気がつけば長い1日が終わりました。
「家の中って、こんなに疲れるものだったなんて知らなかった…。」
ベッドの中で1日を振り返ると、退院できて嬉しいものの、自分が惨めで仕方ありませんでした。
ご飯を作るのも、お風呂に入るのも、何もかも一人ではできなくなっている…現実を受け止めるのはとても難しいことですね。
それでもこの時の私は、まだ前を向いていました。
「入院中に励ましてくれた、看護師さんや患者さんのためにも、頑張って復職しよう」
ただ、それだけを考えていました。
次回→くましゃんがおかしい