【diary42】Dr.かづきちの闘病日誌【踏み躙られる患者の尊厳】
前回→診察の先にあるものは…
42:踏み躙られる患者の尊厳
前回、なぜかK先生が入ったまま始まったF先生の診察。
最初は、病院関係者のK先生に配慮してオブラートに包みながら話していたのですが、気がつけば本音で泣きながらF先生の診察を受けていました。その時、私の心は限界を迎えていました。
とりあえず、薬を飲んで休養することが決まったのですが…
今回、そんな私にK先生がとどめを刺しにきます。
結局、K先生は一度も診察室から出て行くことなく、およその診察が終わりました。
F先生は、私が「入院」という言葉に拒絶反応が出ることに気がついたようで、診察中は一度も「入院」という言葉を使わないように配慮してくださいました。
入院中の医療事故の記憶をあまり刺激しない言葉遣いは、とてもありがたいことでした。
しかし、F先生が、母とK先生のそれぞれに「今後のかづきちさんのことについてどう思いますか」と質問した時に、またもやとんでもない事件が起きました。
母は、私の気持ちを汲んでくれ「入院」というワードを使わずに「休むことが一番」と言ってくれたのですが…。
K先生はいきなりこうきりだしました。
「入院するかしないかは、かづきちさんが決めればいいのでは?」
空気が凍りました。
あまりの出来事に、F先生、母、私の三人は絶句して、K先生を見つめていました。
F先生と母の配慮を、K先生は一瞬にしてぶち壊したのです。あいた口が塞がりません。
そのことにK先生は全く気がついていません。
K先生の発言に、F先生も母も固まっていました。
私は、ショックのあまり放心してしまい、その後K先生が何を発言していたか全く記憶がありません。
「K先生は、本当に医者なのか?今の診察の内容を聞いていたのか?」と思ったところで、私の記憶は途切れています。
その後F先生がK先生の話を切ってくださったようですが…その後の診察の総括がどうなったのか全く覚えていません。
母曰く、K先生はその後も「あなたも医者なんだから自分で決めれば」的な発言をしていたとのことです。(たとえ医者であっても、精神を病んだ患者は患者です。自分で決められるのなら、そもそも診察を受けにはきてないよと、声を大にして叫びたい。また、私の母も、病気になった時に医者から同じことを言われた経験があるそうで、K先生に呆れ果てていました。)
加えて、「私は、かづきちさんがより良い研修できるように配慮してきた」とかなんとか言っていたとのこと。K先生は、私の研修内容を負担がかからないものに変更するように言ったとのこと…え、なんのこと????
この時点では確か、研修内容の変更なんて聞いていなかったはずですが…。
気がつくと診察が終わっていました。
とりあえず、しばらく研修を休み、お薬をいくつか飲むことになりました。
診察室から出ると、突然、私はナイフで刺されたような感覚に陥りました。
そして、K先生の発言がなんどもなんども頭の中でこだまし、苦しくなりました。
「入院…」「入院…」「入院…」
胸が、すごく痛い、熱い。
医者って、腎臓の元主治医やK先生みたいに、安易な発言で人を傷つける人が多いのだろうか。
そして、傷つけたことにすら気づいていない人がかなりの数いるのではないだろうか…。
そもそも、患者の辛いと思う気持ちに寄り添わないってどういうこと?
それとも、辛いという気持ちは甘えなのか?医者が患者になったら、それは全て自己責任なのだろうか?
疑問が次から次に湧き上がり、
今までの辛い思い出と色々な感情が私の中を駆け巡りました。
診察で、研修を休むことが決まったにも関わらず、私は以前よりも苦しくて苦しくてたまりませんでした。
病院まで連れてきてくれたK先生(連れてくるまでにも車の中がカオス状態だったけど…)が、まさか診察の最後で、自分にとどめを刺してくるとは思いませんでした。
診察後、母はそのまま仕事に戻り、私はK先生と運転手さんに連れて帰ってもらうことになりました。
行きは「帰りの車が怖い・どうしよう」と思っていたのですが、そんなことを思う余裕はもうありませんでした。私はひどく疲れ切っていました。
気がつくと、運転手さんが家の前に車を止めてくださっており、私は今日1日のお礼を言ってトボトボ家に入りました。
この日の精神科受診は、非常に辛いものでした。
行きはK先生にずっと気を使い続け、診察室ではK先生の言葉に背中から刺され…とんでもない1日でした。
こんなにひどい目にあうんだったら、お金がかかっても自分で病院まで行けばよかった。
そして夜、私の心身はついに限界を迎えてしまうのです。