【diary46】Dr.かづきちの闘病日誌【くましゃんの限界】
前回→くましゃんは疲れた
46:くましゃんの限界
前回、心身ともにすり減っていったくましゃんを紹介しました。
今回は、そのくましゃんに襲いかかる残念なお話の続きです。
くましゃんは、かづきちが退院してから「自分の見ていないところでかづきちが突然急変するかもしれない」といつも怯えていました。かづきちが入院しているときに何度も急変したことがくましゃんの心に大きな傷を残していたのです。
仕事中も、くましゃんは怖くて怖くて、ずっとポケットの中のスマホを握り締めていました。
仕事が終わればお家までダッシュ…。そんな日が続いていました。
さて、かづきちが退院して、復職し、また休むことが決まった次の週の週初めのこと…。
この日もくましゃんは、かづきちをお家に残してお仕事に行きました。
くましゃんのお仕事中は、もちろんかづきちは家で一人。
現在、時系列を確認すると、現在のくましゃんはここです↓
今週が終われば、月が変わり、別の科での研修が始まります。
今のくましゃんが研修しているのは外科系の科。次にくましゃんが研修する予定の科は内科系の科でした。
「そろそろ次の科に行く準備でもするかな」と思っていたくましゃんに、上司の外科の先生が思わぬことを言ってきました。
「君、来月は内科系の科で研修する予定だったけど、かづきち先生がおやすみになったから、救急科で研修したらいいんじゃない?我ながらナイスアイデア!」
(もともと、新しい月からかづきちが救急科を回る予定でした。このため、かづきちが病気で倒れたため、誰か研修医を回さないとという問題が起きていました。)
くましゃんは、上司の先生の発言にびっくりしました。救急は研修医がメインで回すので激務です。
今の弱り切ったくましゃんでは到底対応できる研修科ではないのです。
その上、帰りも遅くなるかもしれないので、かづきちをお家に一人残す時間が長くなります。
しかし、くましゃんの事情を詳しく知らない上司の先生は満足顔でグッドアイデアと言っています。
くましゃんは、目の前が真っ暗になりましたが、グッドアイデアと言われては断れるわけがありません。
こうして、くましゃんの次の研修先は救急科となってしまいました。
この日の夕方、くましゃんは自分の異変に気がつきます。
いつもの夕方の回診中、とても足が重たく体が動かないのです。
そして頭が割れるように重かった…。
これは流石におかしいと思い、家に帰ってかづきちに相談しました。
かづきちは、もともと退院後くましゃんの異変に気がついていました。
家では、生気が抜けて目がうつろ、にもかかわらず人前ではいつものように振る舞う。
かづきちが鏡で自分の顔を見てみたらというと、何故だかその瞬間だけは普通の表情に戻る…。
玄関では、外に出るまでに時間がかかり、背中を押してあげないと出勤することもできない…。
明らかにおかしいのだけれど、くましゃん本人が認めないので、かづきちにはどうしようもありませんでした。
そして今回、夕方に体が重たく頭が痛かったという話を聞き、かづきちは確信しました。
「くましゃんのメンタルがやばい。もしかしたら私よりも精神的に参っているのかもしれない。」
かづきちはなんとかしなければならないと思いました。でも、かづきちは元気がなくどうしようもありません。
そのとき、ふと気がつきました。
そういえば、新しい科に行く2日前に研修医のメンタルチェックがあるじゃないか!
F先生が面談してくださるので、そのときにくましゃんの今の状態を伝えればきっとなんとかなるだろう!もしかしたら、くましゃんのこの状況は手遅れかもしれないが…。
かづきちのこの不安は残念ながら的中してしまうのでした。
次回→くましゃんのうつ。