【diary56】Dr.かづきちの闘病日誌【私の顔に何かついてる?】
前回→眠れぬ森のくま
56:私の顔に何かついてる?
前回、極度の睡眠障害に陥り、疲れていても全く眠れなくなってしまったくましゃん。
うつ病を放置するとここまで重症化するのかと思い知らされたのですが…。
今回は、もっと衝撃的な出来事が起こります。
さて、休職しはじめてしばらく経ったある日のこと。
くましゃんとかづきちは、日用品を買いだめるために近くのショッピングセンターにやってきました。
二人で、ショッピングモール内を歩いていると、かづきちは左の頬に視線を感じました。
ふと左側を歩いているくましゃんを見ると、なんとこちらを見つめているではありませんか。
「照れるな〜というかなんか変だぞ」と思いましたが、特になんでもなさそうなので、かづきちは前を向いて歩き出しました。
しかし、またしても左から視線を感じます。
「私の顔に何かついてるのかな…いや違うようだぞ」
しばらく歩いて、ふとくましゃんを見ると、またこちらを向いて歩いているではありませんか。
進行方向を全く見ていません。明らかに顔の向きがおかしい。
前から人が来ても、かづきちの歩く方向に合わせて避けているという感じでした。
かづきちが「どうしたの?」と聞くと、「なんでもない」と言って、今度は真下を見て歩き始めました。
「???????」
おかしいと感じたかづきちがしばらく観察していたところ…。
くましゃんが、なんと横と下しか見ずに歩いているのです。進行方向に顔を向けることが全くないのです。
そして、かづきちは気がつきました。
「くましゃんは前からやってくる人と目を合わせられないんだ!」
なんとくましゃんは、前から歩いてくる他人と目を合わせないために、下や横を向いて歩いていたのです。
これは、うつ病に合併しやすい、「社交不安障害」の症状でした。
かづきちは背筋が凍りました。
くましゃんの状況は、本人やかづきちが思っていたより、もっと悪かったのです。
くましゃんは、家ではかづきちやかづきち母の目を見て話しています。
誰も「他人と目を合わせられない」という症状に気がついていませんでした。
さらに、この後もう一つ異変が起きました。
ショッピングモールで子どもが叫んでいました。
いつも通りの光景だなと思っていたところ、くましゃんに異変が起きました。
「いつもよりうるさく感じる。耳がキンキンしてたまらない…。」
くましゃんの顔は真っ青になり、肩が上がって、上半身にものすごく力が入っています。
これって「聴覚過敏」!?!?
まさにメンタルが悪い時に出る症状です。
かづきちは、目の前でいろいろな症状が出ているくましゃんを見て恐ろしくなりました。
そしてくましゃんを引っ張って、ショッピングモールから一目散に逃げ出しました。
次回、くまとバイキング。