【tubu.63】うちのおばあちゃんのお話2【リビングウィルとエンディングノート】

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63.うちのおばあちゃんのお話2

前回→うちのおばあちゃんの話1

 

 

( @∀@)

みなさんこんばんは。Dr.かづきちです。

夜分になってしまいましたが、今日は家族で大事なお話をしたのでご報告です。

タイトルは「リビングウィル」。

テレビでも取り上げられることが多く、目にしたことがあるかたも多いと思います。

 

「リビングウィル」とはliving will 、「生前の意思」と訳されます。

(私の中では、意識がなくなったときのための事前準備と考えています。)

もし自分に何かあったときはこうして欲しいと事前に書いておくことで、家族が治療方針を決める際に一つの指針とすることができます。

最近ではエンディングノートといい、リビングウィルを記しておくための専用のノートもあります。

 

さて今回、祖母が日に日に悪くなっており、家族で急遽「リビングウィル」を確認しようということになりました。

 

実は最近、祖母の容体が日に日に悪くなっているのです。

10日で5回も意識朦朧状態になり、揺すっても起きず私と祖父が状態管理に四苦八苦することが続きました。

このような「意識が戻らない」ことは8ヶ月前に始まり、最初は3か月ごとくらいに出現していました。

しかし、次第にスパンは短くなり、この一週間はほぼ1日おき。

そして話もなかなか通じないことが増えていきました。

 

祖父と私は、

「これでは祖母が家で看れなくなる日が来て、施設に入れざるを得なくなる。」

「祖母が意識を失うことが多くなれば、延命をどうしたいのか意思を確認できる機会がなくなってしまう。」

と危機感を抱くようになりました。

 

そして今日、私が闘病日誌を書こうと準備していたところ、

また祖母が「意識が戻らない状態」になりました。呼び掛けても、叩いても反応がありません。

呼吸や脈拍は確認でき、「いつもの」と確認できました。

しかし、それは4時間も続き、いつもよりとても悪かったのです。

 

祖父は覚悟を決め、急遽家族を召集し、「リビングウィル会議」を行うことになりました。

 

内容は「延命するかどうか」、「もしするならどこまでするのか」

幸い、今夜の祖母の状態はよく(遠くの家族が帰ってくる時だけは唯一頭がはっきりしている)、

しっかりと受け答えすることができました。(この祖母の様子を見て、祖父と私はこれが最後のチャンスと思いました。)

司会は母です。今日の話の最大のテーマはこの3つです。

1 もう回復する見込みがない場合でも、延命するか? するならば心配蘇生や気管挿管はするのか?

2 1のような処置をしない場合でも、栄養のチューブを入れたり、点滴はするのか?気管切開はするのか?胃ろうはするのか?

3 痛み止めや痒み止めなど、症状に適した治療を行うかどうか?

 

この3つを祖父と祖母の両方に聞くことになりました。

 

祖父はもうすでに答えを用意していました。

それどころか、自分のお葬式の方法、役所への届け出方法、連絡先、遺影、自分の経歴、全てをまとめて一冊の本を作っていたのです。

これは、私たちには非常に衝撃的でした。

そして、はっきりと「俺は延命しない。自然でいい。自分の母親もそうだったから俺には延命しないでくれ。チューブも点滴もいらない。痛いときは痛み止めをくれればそれでいい。」

家族全員がそれを受け止め、書面に残しました。

 

そして、祖母。祖母は「今すぐ言われてもわからない。2、3日欲しい」

しかし、私が介護に参加するようになったこの2週間で、祖母がまともに受け答えできたのはこの時だけでした。

だから、「祖母にわかる範囲でいいから今決めて欲しい。気が変わったら変えていいんだから」と伝え、祖母に答えを求めました。

(1週間以上前から、私は祖母がご飯を拒否するたびに、「本当に食べられなくなったらどうするの?チューブや胃瘻はするの?」と聞いていたのですが全く覚えていないようだったので、もう「今」考えてもらうしかないと感じていました。)

 

すると…

「おじいちゃん(祖父)と昔から決めてたし、私もチューブ入れる患者さんを見てきたから、延命はしないで欲しい」

とはっきり答えることができました。(祖母は昔、看護師をしていました。)

その一言が嬉しかった…。延命するにせよ、しないにせよ、祖母の意見が聞けて本当に嬉しかったです。

 

他の家族もその意見を尊重するという運びになり、無事リビングウィルを家族みんなで作ることができました。

そして、まだ若い私たちも、臓器移植の希望の有無や万が一の時どうするかを話すことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。

 

今まで、家族でこのような「命」を考える機会はありませんでした。

病気の祖母が、私たち家族に与えてくれたとてもいい機会だったと思っています。

 

今後、祖母の病状によっては、家族間の意見の食い違いやトラブルが起きるかもしれません。

そのときは、このリビングウィルを見て、家族全体で考え、答えを出すことができればいいなと考えています。

(もしかするとリビングウィルは残された家族をトラブルから守るための一助かもしれません。)

 

祖母の状態が少しでも安定し他日が続くことを祈りながら、今日は家族の時間を過ごしたいと思います。

ありがとうございました。

 

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