【diary60.5】Dr.かづきちの闘病日誌【番外編:私が実家で療養しない理由】
60.5:私が実家で療養しない理由
闘病日誌60でかづきちとくましゃんは、くましゃんが学生時代に住んでいたマンションに引っ越すことを決めました。
これを読んで、「え、実家で療養したら良いのでは?」と思う方もいるかと思います。
もちろん、「かづきちやくましゃんの家族にも、実家で療養すれば良いではないか?」という意見がありました。
今回の闘病日誌ではなぜ「実家」で療養しなかったのかの理由を紹介します。
まずうつ病の特徴を思い出してみましょう。
うつ病は生きるエネルギーが枯渇してしまう病気です。
そのため、ちょっとしたことですぐに疲れてしまいます。
ちょっとしたことの代表例は、他者と会話すること…
他者と会って話すと、気をつかってしまいますよね。
このため、うつの患者はたったそれだけで、すぐにエネルギーが枯渇します。
さらに、この「他者」に種類があるのです。家族、親しい人、全くの第三者。
実は、この「他者」の種類によって疲れが大きく異なるのです。
皆さん、うつの人はこの3種類の「他者」のうち、誰に一番気を使ってしまうと思いますか?
答えは、なんと家族なのです。
なぜなら、家族が自分のことを一番心配してくれるからです。
家族って普段なら良い意味で気を使わないし、言いたいことを言えますよね。
また、病気になったら心配で頻繁に声をかけてくれたり、何か持ってきてくれたりする家族もいるでしょう。それは、とってもありがたいのですが…。
実は、うつ病の人にはそれが辛いのです。
心配してもらうのはありがたいですが、頻繁に話しかけてこられるととてもエネルギーを使います。さらに、家族に心配させて申し訳ないと、うつの患者本人が罪悪感に苛まれてしまうこともあります。これでは罪悪感でエネルギーを使ってしまいます。
時には、家族が「なんで病気になる前になんとかしなかったんだ」とか、「今の病院が良くないんじゃないか」とか、「もっとこうしたら良くなるんじゃないか」とか…けっこう的外れな質問をしてくることがあります。なかには、「元気だった時は困難じゃなかったのに…」、「病気で仕事ができないなんてみっともない」とか超余計なことを無神経に言ってくる時もあります。
私も家族や親しかった人からとんでもないことを言われて、うつが悪化しました。
うつ病の人はエネルギーが枯渇しているので、的外れな質問をされても頭が動きませんし、無理に動かすとさらにエネルギーを消耗してしまいます。しかも、うつ病患者の中には病気になった自分を責めている人もいます。家族からも責められるような言い方をされるとたまったものではありません。
家族って、普段言いたいことを言える仲だからこそ、いつこのようなトンデモ発言や質問をしてくるかもわかりませんよね。
だから、家族の近くにいる時は、知らず知らずのうちに身を守るためのエネルギーを使ってしまうのです。
逆に、第三者は気を使ってくれるため、余計な質問や発言しません。
さらに、元気だった時の自分を知らない人であれば、元気だった自分と病気の自分を比較してくることはないので、とても気が楽です。
結論:「他者」のうち「家族」が一番気を使う
もちろん、実家での療養は、家族が家事をサポートしてくれるためメリットもたくさんあります。
しかし、私たちの場合、「家族にとても気を使う」というデメリットとメリットを天秤にかけたら、デメリットが上回ってしまいました。
だから、私とくましゃんは実家での療養を選択しませんでした。
患者さんの性格にもよると思いますが、私はこの選択でよかったと思います。(実家にいたら、いまだに寝込んでいたと確信していますw)
ちなみに、余計な話かもしれませんが、実は最もひどいことを言ってきたのは、なんと精神科が専門ではない医療従事者です。
明らかに勉強不足なのにも関わらず、知ったようなふりをして「こうしたら良いよ」とか、「そんなのだから治らないんだよ」とか…あまりにも非常識なことを、さも当然のように言ってきた医療従事者が複数いました。時には、「私は医療従事者だからなんでも知ってる」みたいなことを堂々と言ってきます。私は、何度も耳を疑いました。
特にタチが悪かったのは、親族内の医療従事者です…。中途半端にこちらの事情を知っているからこそ、療養だけでなく仕事のことにまで口出ししてきて本当に迷惑でした。
はっきり言って、放っておいてくれた方が良くなります!お願いだから放っておいてくれ!(失礼、つい熱くなってしまいました。)
もちろん、多くの知り合いの医療従事者にはきちんと対応していただき、非常にありがたかったです。
しかし、このように一般人顔負けのトンデモ発言をしてきた人もいたので、
医療従事者だからといっても「必ずしも理解があるわけではない、対応方法を知っているわけではない」ことを心のどこかに留めていただけたら幸いです。