【diary67】Dr.かづきちの闘病日誌【研修医室に入ったら…。】
前回→復職当日~出勤~
67 研修医室に入ったら…。
前回、復職初日にやっとの思い出病院の駐車場まで到達できたかづきち。
今回は、ようやく病院内に入ります。
駐車場から、病院の職員通用口に向かう100メートルはかづきちにとって地獄でした。
他の職員が後ろから歩いてくる音が聞こえ、追いつかれないように、声をかけられないように、足早に移動しようとしました。しかし、体が全く動きません。
早歩きができなくなっていました。
それでもなんとか病院内に入り、階段を上り医局・研修医室に向かいます。
階段は低く登りやすいはずなのに、まるで鉛がついているかのよう。
医局の扉に暗証番号を開く瞬間は、今でも鮮明に覚えています。
ロック解除したにもかかわらず、扉を開ける手に力が入りませんでした。
すると、向こう側から扉が開き、男の先生と鉢合わせになりました。
知り合いの先生だったので一瞬詰まりましたが、
「おはようございます。お久しぶりです。」
とハキハキ返すことができました(?)。(これは、かづきちの勘違いかもしれません。)
その後、研修医室に荷物を置きに入りました。
そこには一人先輩研修医が…。
ほとんどの研修医はカンファでいませんでしたが、彼だけは残っていました。
やばい、汗がピークです。冷や汗しか出ない…。
その先輩研修医は「うつになればよかった事件」に関わってはいませんでしたが、休職し始めた頃の研修医たちの信じられない一言のせいで、研修医に対して警戒していました。このため、体はガチガチになりかたは上がっていました。
やっとの思いでその先輩研修医に無事(?)挨拶をし、自分とくましゃんが休職中に当直や救急のシフトで大変だったことを謝罪しました。(そもそも、私が休まざるを得なかったのは病院側の責任であり、それは管理職の先生も把握済みです。だから、この件は病院側が研修医に謝罪することであり、私が謝ることではない気がしていました。しかし、例のトラウマその2のせいで、他の研修医にあやまらなければいけないという強迫観念にとらわれていました。)
ちなみにその時、先輩研修医からどのような返事が返ってきたか、かづきちは覚えていません。
なんだか先輩研修医が心配してた的なことを言われた気もしますが…
とりあえず、その後しばらくの記憶が真っ白です。
次の記憶は研修医室の自分の椅子の前にいるところから再開します。
気がつくと、人事課に提出する書類を握り締めて、研修医室に突っ立っていました。
何分くらい放心していたのでしょう。5分くらい経過したのでしょうか。
研修医たった一人に出会っただけでも、こんなにもメンタルが不安定になってしまう状況。
かづきちはこの状況に気がつき、
「一体自分は今日1日を乗り越えられるのか?いや、そもそも研修医に戻れるのか…」
想像を絶する不安に飲み込まれそうになりました。
しかし、頑張って研修医に戻ろうという自分の声が聞こえてきて、ふと我に返りました。
そうだ。まず、やるべきことを一つずつやろう。
頑張って研修を終了させるんだ。これしか私に道はないんだ。
まず、白衣に着替えて、医局秘書さんに挨拶して、K先生に電話して、病棟に挨拶に行って、書類を提出しに行かないと…。
こうして、我に返ったかづきちは、一つずつ復職初日のノルマをクリアしようと動き始めました。
次回、K先生の病棟にかづきちが向かいます。Hahahaha
(この回を書いていて今、思うことがあります。研修に戻るときに「私にはこれしか道はない」とか思っている時点で、非常に視野狭窄している状態だったのですね。別に研修を終わらせることにとらわれなくても、生きる道は別あったのです。でも、その道だけしか見えないくらい、自分は追い詰められていたのですね。辛い。)